夜遊びの約束(3)

「いただきまーす。ボク、バナナだーい好き」


「すみません柚月さん、ごちそうになります」


「うひゃー、おいしそう! やっぱりクリームソーダは最高だね!」


 三人の個性的なショタっ娘は、リアクションも三者三様だ。


 満面の笑みでバナナスムージーにストローを挿し、ちゅうちゅうと飲んでいるのがミオ。


 上品な手つきで、アイスティーにミルクとガムシロップを注ぎ、音を立てないように混ぜているのがレニィ君。


 そして緑色のソーダにアイスクリームが浮かんでいる事でテンションが上がり、スプーンで少しずつすくいながら食べているのが弟のユニィ君だ。


 今の俺は、このショタっ娘たちを見守る保護者になっているわけで、その責任たるや、極めて重大である。


 何しろ、俺の大切なミオと、ここに来てくれた如月兄弟の三人を、晩ご飯を食べた後に、ホテルの館内施設であるカラオケルームに連れて行こうというのだ。


 ミオには俺がついているからともかくとして、レニィ君たちをあまり遅くまで連れ回すと、この子たちのご両親が心配するだろう。


 なので、時間の取り決めや送り迎えはしっかりとやっておかなくてはならない。


「さて、これからの予定だけど。レニィ君たちも、カラオケへ行く前に、先に晩ご飯を食べてきてね」


「はい。分かりました」


「レニィ君、晩ご飯も二人だけで食べるのー?」


「いえ、さすがに食事へは両親も一緒に来てくれるそうです」


「うちのパパとママが食事券を持ってるから、ぼくたち子供だけじゃ来れないんだよねぇ」


 ユニィ君はそう話すと、幸せいっぱいといった表情で、スプーンに山のように盛ったアイスクリームを口に運んだ。


「ああ、そういや食事券を渡すシステムだったね。俺たちも忘れないようにしなきゃな」


「そだね。今日はボクもカツオを食べるんだー」


 ミオはグラスボートでカツオの群れを見た時、綺麗とか壮観だとかいう感想が出る前に、今日のディナーバイキングでは、カツオの料理があるのかどうかを気にかけていた。


 この時期のカツオは多く揚がっているし、昨日とはそんなにラインナップも変わっていないだろうから、今日は満足いくまでカツオ料理を食べさせてあげよう。


「カツオですか? 一体どんな味がするのかなぁ」


「え? レニィ君カツオ食べた事ないのー?」


「レニィは魚が苦手なんだよ。あんなにおいしいのに、食わず嫌いしちゃってさぁ」


「あははは。好き嫌いはいけないって分かってるんですけど、魚だけはちょっと……」


 レニィ君は自分の食生活における苦手分野を弟にバラされ、顔を引きつらせている。


 同じショタっ娘でも、お魚が大好きなミオとは対照的だ。

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