再会、そして(6)

「ミオ、晩ご飯は何時くらいにしようか?」


「んー。バイキングって何時からやるのかな」


「ホテルの案内によると、夕方の六時から九時まではやってるらしいよ」


「じゃあ、もうすぐなんだね。お腹は空いたけど、今日もいっぱい汗かいちゃったから、先にお風呂に入ってからがいいかなぁ」


「そうだな。温泉はもう開いてるみたいだし、先にお風呂を済ませちゃおっか」


「うん、そうしよ! 今日もお兄ちゃんの背中を流させてね」


「いいよ。じゃあ、また洗いっこしような」


「やった! うふふ、楽しみぃー」


 ミオは嬉しそうに、タオル類と替えのショーツをバッグに詰め始める。


 これから持って行くミオのショーツは、お気に入りでよく穿いている、グリーンの濃淡で構成された縞パンだ。


 もちろんクロッチのあて布と、前後を分かりやすくするための小さなリボン付き。


 つまりは女の子用の下着である。


 臀部はフルバックではあるが、なにぶんにもパンティーラインが鋭角なので、お尻を隠しきるのは不可能だ。


 俺でさえ、それを穿いているミオの後ろ姿を見るたびにドキッとするのに、他の宿泊客が下着姿を目の当たりにしたら、一体どうなってしまうのか。


 脱衣所で服を脱いだり、風呂上がりでショーツを穿き替える時は、できるだけ、人目の少なさそうな並びのロッカーを選んだ方がよさそうだな。


 今日は日中の天気がよかったし、夕方から明日にかけても晴れ間が続くそうなので、昨日は入れなかった露天風呂にも行けるだろう。


 衣服と下着を脱ぎ、浴用タオルを持って大浴場に入った俺たちは、さっそく洗い場でお互いの背中を流し合い、体と頭を綺麗に洗ってから、露天風呂へと向かった。


 まだ陽が落ちていない時間帯なので、入浴客はそんなに多くはない。


 じっくりと湯船に浸かった後に空を見上げると、やや橙色だいだいいろに染まったがちらほらと浮かんでいた。


 耳を澄ませば、ホテルのすぐそばにあるプライベートビーチの方角から、砂浜でたわむれているのであろう、ウミネコの鳴き声が聞こえてくる。


 情緒があっていいなぁ、いかにも夏真っ盛りといった感じだ。


「ミオ、お湯は熱くないかい?」


「大丈夫。ぽかぽかしていい気持ちだよー」


 初めての露天風呂体験になるミオは、お互いの体が密着しそうなくらいにまで距離を詰めて湯に浸かっている。


 まぁこの子は家族かつ彼女候補だから、このくらいは普通のスキンシップのつもりなんだろうけど、せっかく開放的な露天風呂に来たんだし、もっとワイドに利用してもいいんじゃないかとは思う。


 何より俺がドキドキするから。

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