戦略的ヤンデレ?委員長『こんなところに頭脳プレーはいらない』

 

「おはよう誠人!今日はとてもいい日ね!私と誠人。今日は二人の記念日だわ!」


「おはよ委員長。当たり前のように俺の部屋にいるのは……まあいいとして。

 何が二人の記念日なんだ?俺にとってはいつも通りの……というか、この頃になって当たり前になりつつある、委員長に俺の日常が侵害される一日の始まりなんだが?」



 俺は自身が眠るベッドが軋む音に少しだけ目が覚醒し、身体に重みを感じて目をぱちりと開けたところ……


 俺の目の前には先程のセリフを述べながら、にっこりと微笑む委員長の顔がドアップで映り込んだ。



 少々驚いてしまったが委員長であればそんなこともあるかと考え、その「記念日」とやらについて尋ねてみたのだが……


 なんだろう……。普通に嫌な予感しかしない。



 すると、それを聞かれた委員長は待ってました!とばかりに目を輝かせて



「それはもちろん!私たちのよ!

 昨日の電話で誠人が了承してくれたじゃない!」


「へ〜。そういう夢でもみたのか?委員長?」


「ううん?まだそんなこと言って寝ぼけてるの?誠人?

 ちゃんと昨日、『そんな嫌って事言ってるけど、ホントは私のこと好きなんでしょ?私と付き合いたいんでしょ?』って聞いたら、『あー、はいはい。そうだな。』って頷いて了承してくれたじゃない。」



 と、そう言った委員長はニコニコと嬉しそうに俺の顔を覗き込んで微笑み、未だベッドに横たわる俺の事を見つめる。


 その表情はまるで、最愛の彼に微笑むその彼女のようにも見えるが……



「昨日はぼーっとしてて、よく覚えてないって言ったら……どうする?」


「もちろん、思い出すまで悩んで貰って、それでも思い出せないようなら……誠人を殺して私は警察に自首するよ。」


「えぇ……。そこは委員長も一緒じゃないの……?」


「いや?殺人は犯罪ですから。自首するのは当たり前……『なら、そもそもやめて……』でも、誠人がとぼけるなら仕方ないよね?『えぇ……。』」



 と、当たり前のようにそう言って、記憶の消去からの交際拒否は認めてくれない。


 ていうか、マジでそんな事言ってた記憶がないんだが……



 そして、どうにか足掻きたかった俺は何処ぞやのチンピラの如く「証拠見せてみろよ!証拠を!」と、喚いてみるのだが



『そんな嫌って事言ってるけど、ホントは私のこと好きなんでしょ?私と付き合いたいんでしょ?』


『んあ?あー……はいはい。そうだな。』


『ホント!?やったぁ!』



 といった録音機の内容を無言で再生し、「どう?ホントだったでしょう?」とでも言いたげな視線をこちらへ送る。



 うすうす予想していたのだが、やはりこちらの会話を録音していたようだ。


 聞くところによると、いつも俺との会話は(俺との愛の記録として)録音しているらしい。[本人談]



「ね?だから私と誠人は昨日から付き合っているの。これはこの録音機がその事を証明しているんだから!

 それに……「昨日のは嘘だった。」なんて言われないように、ちゃんと昨日から頑張ったんだよ?」



 委員長はそう言うと、自身の通話履歴やLINEの画面を見せてくる。


 そして、それをよく見てみると……



「これは……俺たちクラスの全員の名前?」


「うん。そうだよ。私たちのクラス全員とその他各クラスの私が仲のいい女の子たちの名前。

 これが意味する事は……もう分かるよね?誠人。」


「まじすか……もう逃げ場なしって事ですか……。」



 と、俺は委員長の見せたそれらによって、昨日委員長が言っていた『明日の準備』の意味を理解した。


 それら名前の意味、それは……



「クラス全員と委員長の友達全員に交際報告したとかまじか……。

 しかも電話で伝えてLINEでは目に残る形で残すって……、完全に逃げ場ゼロになってるじゃねーか……。」


「あっ!あと、女の子の方には『私、誠人にガチラブだから、絶対ちょっかい掛けないでね?』って念押しもしといたから、あとの高校生活は私とだけ仲良く出来るね?」



 と、委員長はいい笑顔で死刑宣告まで突きつけてくる。


 終わった……俺の青春。さようなら……平穏な学園生活。


 俺はそんな彼女の言葉に絶望し、現実の辛さにベッドで打ちひしがれていると……



「マサト〜!早く起きなさぁい!が起こしに来てくれているからって、イチャイチャしてたらダメよぉ〜」



 と、間延びした母さんの俺を呼ぶ声が下から聞こえてくる。


 まさか!


 俺が思わずその原因であると思われる委員長、花園 珠子はなぞの たまこの顔を覗き込んだところ



「ふふふ!ちゃんとお母さまにも交際について報告済みよ!だから、朝から誠人の部屋にあげて貰えたの!

 うふふ!これで家族公認の仲になっちゃったわね?誠人?」


「ホント、勘弁してくれ……。」



 俺は二重の意味で逃げ場のなくなった状況に頭を抱え、何かの間違いであって欲しいと切に願うのだった。



 ちなみに、この現実お付き合いが夢であって欲しいと願い、洗面台の水で自身の顔をゴシゴシと洗ってみたのだが……ただただ冷たいだけでその現実ゆめから覚めることはなかった……。

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