空へ
勝利だギューちゃん
第1話
私は、動物が好き。
何でも好き。
犬も猫も、そして昆虫も・・・
「うわっ、朝帰りだ。さすがに怒られるかな」
私は、春風美穂、花の女子高生。
17歳。
お友達の家に、お泊まりしてその帰り。
うちの両親は、干渉しないが、さすがに朝帰りは怒られるな・・・
「近道しよう」
公園を通り抜けようとするが・・・
男の人がしゃがみこんで、何かをじっとみている・・・
本来なら、関わるべきではないのだが、なぜか気になった。
「どうか、なされました?」
うしろから声をかける。
すると、男の人は無言で、前を指差した。
「うわっ、セミの羽化ですね」
脱皮を終え、白い個体がそこになる。
だんだんと、セミの形になっていく。
「アブラゼミですね」
男の人はうなずく。
「もしかして、ずっと見てたんですか?」
男の人はうなずく。
男の人は、セミを見つめている。
「セミって、2週間しか生きられないんですよね」
「・・・いや、一か月近く生きる個体もある」
初めて、男の人の声をきいた。
「でも、どうして2週間なんですかね」
「だいたいが寿命をまっとうする前に、餌になるか、暑さにやられるか・・・」
「そうなんですか・・・」
男の人は悲しそうだ・・・
「でも、自然の摂理ですから、仕方ないですね」
「確かに、でも・・・」
「でも?」
「人間につかまって、虫かごで一生を終えるのは、さすがに、気の毒だ」
身の安全の保証はある代わりに自由がない。
自由がある代わりに、絶えず身の危険が付きまとう。
どっちが、動物にとって、幸せなんだろう。
私には、わからない・・・
「そろそろだな・・・」
「えっ」
すると、セミが空へと羽ばたいていった。
朝日が眩しい・・・
そろそろ帰るか・・・
私もいつか、社会という空へと巣立っていく。
その時は、他人の手を借りず、自分の羽で羽ばたきたい。
男の人はいなかったが、なぜかまた、会える気がした。
女の勘が鋭い・・・
それをなぜが、願わずにはいられなかぅた。
空へ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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