行方不明

作者 ほてい

18

6人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

小説に毒を吐くというのは、実は簡単なことではない。
SNSでの病んだ投稿とはハードルが違う。本来、文学作品とは、綺麗で、純粋で、ハッピーエンドであるべきだと私は思う。この汚い現実世界からの逃避手段の一種として、小説も存在しているのだと思っていた。
だが、この「行方不明」を読んで考えが変わった。
苦しくて辛い気持ちを吐露して文字に起こすというのは、ハッピーエンドより数倍も難しいのだ。
誰も、執筆によって自分が苦しい思いなんてしたくないに決まっている。それでも、世界に、他人に対して心の空虚な何かを伝えようとするこの小説に、感動した。
若くして酷烈な人生を送る主人公に、思わず胸が痛み、このような経験がなくとも自然とヒステリックになってしまう。
知らない世界に足を踏み入れたにも関わらず、喉は乾き、冷や汗が滴り、おぞましい感情に胸が支配されるのがこの作品である。
リアルすぎる描写に、人間が誰でも持つ痛みというものが、垣間見えた気がした。
気付かないだけで、私たちは常に傷つき、さながら濁世の闇である。
主人公の向こう側にいる作者が、この小説によって救われ、荊棘から抜け出せることを切に願いたい。

★★★ Excellent!!!

子供と言われたくない。
私もそういう時期があったなぁと、懐かしく感じました。

物語はかつて辿ってきた少年の話。
家族に思う純粋な葛藤が描かれています。
文字だから、心の声だから伝わること。
過去の自分、大人になったからこそ思う自分、嫌いな家族に伝えたい言葉。

閉めていた蓋が、自分で抑えていた蓋が怒りで箍が外れた時の言葉は、胸に刺さりました。

家族関係で上手くいかないこと。
死にたいと思うこと。
子供に見られたくない、大人になりたい。

時間が解決してくれることは、その人にとっては、今この瞬間が全てだから、教師や大人のありきたりな解決な言葉が本当に耳に入らない時期でしょう。

辛くキツイ中高生人生がしっかり描かれていて、凄い伝わりました!