天使計画 ~Angel Project~

作者 秋月 司

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★★★ Excellent!!!

ドナー。臓器提供。
非常に重いテーマを扱っていながら、本作はそれでも終始、読む側に希望を与えつづけてくれる。
オリジナルに万一のことがあった場合の臓器提供者としてこの世に生を受けたスペア。
諸事情により記憶を操作された主人公英智は、平穏な大学生活を送る中で、それでも時折、その生活の中に感じられるささやかな違和感に悩まされる。
繰り返される夢。そこに毎回登場する大切なはずの相手の姿をどうしても認識することができないもどかしさ。なぜか自分の個人的な部分をよく知っている、顔見知りのカフェのマスターや従業員たち。
積もりに積もった違和感がやがて明確な疑念となってもたげたとき、英智の前に、ようやく真実の扉が開かれる。そこで知らされたのは、あまりに残酷で容赦のない現実。
己のアイデンティティーすら見失いかねない非情な現実を前に、英智はなおも、絶望することなく前に進み、未来をその手に掴み取ろうと立ち上がる。
描かれているのは、眩しいほどの友情と互いを思いやるまっすぐな気持ち。神の領域に踏む込もうとする人間の奢りと、人道に反する理念をそれでも技術の限界を超えて守り抜こうとする不屈の精神。
強大な力に立ち向かう英智たちの勇姿を見届けていただきたい。

★★★ Excellent!!!

天使。
天の使い、すなわち神の御遣いである。
万物は神によって造られた(新約聖書より)、もちろん天使もその例外ではない。
では『神』とは一体何なのか。

この話には「天使」が出てくる。
作られた天使たちだ。
そしてその天使たちを作ったのは他ならぬ人間である。
人間は神の領域を犯したのだ。

神の領域に手を出した人間は一体何に裁かれるのか。
その時、天使は何を感じ、どう行動するのか。
マタイによる福音書では最後の審判に於いて天使もその場に居合わせているが、この物語でも「その時」を天使たちは共有している。

天使たちは何を目的に生まれ、何を為し、どのようにこれからを生きるのか。
それを選ぶ権利が彼らにあるのか。
深く考えさせられる物語だった。

★★★ Excellent!!!

主人公の英智は穏やかな大学生活を送っています。
でも実は周りの人たちは、主人公の知らない主人公を知っているようで……

皆さんは臓器提供について考えたことはありますか? 海外ではお金で臓器を売る人もいると聞きます。この作品は私にそういったドナーになる人たちにについて改めて考える機会を提供してくれる作品となりました。
それに生殖医療についても何故タブーが存在するのかを思い出させてもくれました。

是非、主人公になった気持ちで読んでみてください。
そして自分なりの臓器移植や生殖医療への見解を考えてみていただけると嬉しいです。

★★★ Excellent!!!

この物語は、ただ消費されるためだけに造り出された子供たちが、自らの運命に抗い、自分の生きる道へ進もうとするSFヒューマンドラマです。

主人公は、過去の記憶が曖昧で、自分の立ち位置を定めきれずに過ごす大学生・英智(エイチ)。
彼はある日、行きつけのカフェの店員である京(ケイ)と会話したことがきっかけで、自分にまつわる驚くべき事実に触れることになります。
それは、繰り返し見る夢に紐付く失われた記憶と、【天使計画】と呼ばれるプロジェクト——

生体ドナーのためのクローン。
いつか近い未来に実現するかもしれないそれが、この作品の主題です。
人間の力が、人智を超えた領域に踏み込む。
技術の進歩と、命の倫理と。
いったい何を基準に「正しさ」を判断するのか。
それは「誰にとっての、どんな幸せを重視するのか」という問いに言い換えられるかもしれません。

普遍的なテーマですが、英智と京の二人を始め、英智の友人・修、カフェのマスター・悟や店員のゆかりなど個性豊かな登場人物がストーリーを彩り、唯一無二《オリジナル》の人間ドラマとして仕上げられています。

一人ひとりの血肉を持ったキャラクターがそれぞれの道を進むラストには、爽やかで力強い感動を覚えました。
誰のため、何のために生きるのか。深いメッセージの込められた、素晴らしい作品でした。

★★★ Excellent!!!

タイトルやキャッチコピーの天使が必要なのか、気になりますね。

断片的にキーワードはちらほら序盤からでて来てます。これらは中盤でいったん明かされます。そこから、怒濤の展開です。徐々に明らかになっていく事実、深まる謎、つながっていく真実。

文章上手く、読みやすいです。

このテーマに天使と名付けた作者様のセンス。

印象的な言葉の数々。

未来の世界観が練られているSFの傑作!

★★★ Excellent!!!

大学生の英智は時折同じ夢を見る。
なにかにひっかかりを覚えながら暮らす日々の中、あるとき自分を取り巻く日常が本来の日常ではないと分かり……。

第23話まで読了時点のレビューとなります。
タグに「ドナー」「提供者」とあるように、物語の根底にあるのは臓器移植を巡る問題です。

けれど、謎が謎を呼ぶ展開や、登場人物の描き方が大変秀逸で、どんどん物語に引き込まれます。

1話読むごとに明かされる謎、誘発されて膨らむ謎、それらがトレードオフのように切り替わり……。
さらにはその渦の中に登場人物の感情が鋭く濃く描かれていて、読者に息をつかせてくれません。

気づけば一気に最終更新話まで読み進めていました。

英智たちが望む末来を掴めるよう、見守っていきたいです。
更新楽しみにしておりますー!