14.仲間ができました

「全員集まった? それじゃ、説明始めるよ。」


 今私がいるのは、王都郊外の森の前。

 王城の裏山からずっと続いている神聖な森の端で、リィナさんから説明を受けていた。


 今回の新人演習に参加するのは、騎士団から32名、魔法師団から12名の計44人。ちなみに魔物使いは私だけだった。


 つまり目立つ。

 先ほどからチラチラと視線を感じていた。

 フテラは相変わらずの様子で、初めて見る森やその植物にわくわくが抑えきれない様子で、今は蝶々を必死に追いかけている。


 そんなものだからあちこちから、


「え、あれが魔物?」


「ぷっ、全然扱いきれてねーじゃん。」


「あーあ、可哀想に。調教が間に合わなかったのか。」


 なんて声が聞こえてきていた。


 あーこれ、聞こえてるの分かっててやってるなぁ...と思うも、昨日リード騎士長の前で誓った"フテラを信じること"を思い出すと、不思議と気持ちは落ち着いていた。


 <怪我をさせるわけにはいかないからね。>


 なんてセリフまで思い出してしまって、少し慌てたのは内緒だけど。


 ーー大丈夫、魔法だってアラン師団長直々に教えてもらったんだもの。できる。


 というか、できなかったら殺される、確実に。あの良い笑顔で、


 <へぇ? 僕がわざわざ時間を割いて教えてあげたのにできなかったんだ? へぇ、そうか。>


 とか言われるに決まってる。

 そんなアラン師団長を思えば、周りの人たちの言葉ごとき全く心に届かないわ! こっちとら命がかかってる訳だしね。


「じゃあ良いかな? グループを発表するよ。」


 なんて悶々と考えていると説明は終わっていた。


「ーーーと、シュルカ。」


「ッはい!」


 グループは4人グループ×11個で、私は第7グループだった。ちなみにこのグループで魔法師は私ひとり。


「じゃ、軽く自己紹介して準備。30分後に各グループに任務を言い渡して、第1グループから順に10分おきに出発だよ。」


 一応と思ってリード騎士長が入ったときの演習を聞いておいたのだが、今の話を聞く限り変わっていないようだ。

 ほっと息をついて仲間が集まっている元に向かう。


「んじゃ、俺から自己紹介するぞ。」


 そう言ったのは、私以外の3人の中で1番リーダー格っぽくてガタイの良い男の子だった。


「俺は、ロウラ。第1騎士団だ。」


 続いて、背が高く黒い髪を後ろでお団子にしている女の子が言う。


「私はラーサ。第4騎士団。よろしくね。」


 もう1人はぱっと見騎士団には見えないくらい華奢な、だが腰にさした剣がよく似合うブロンドの髪の男の子。


「僕はカイル。まだ入ったばかりでね、団の所属先は決まっていない。...それで、君は? 魔法師さん。」


「あ、私はシュルカと言います。魔物駆りに所属していて、相棒はこのフテラ。適性は光...なんだけど、実は昨日生まれたばかりでまだあまり訓練できていないの。」


 と言ってフテラを持ち上げる。

 フテラは状況がよく分かっていないようで、『きゅーん?』と首を傾げていた。


 すかさずロウラが不安そうな顔をする。


「はぁ? それ大丈夫かぁ? そういや説明のときもちょろちょろしてたよな。」


「ロウラ! 魔物駆りのペアの絆に時間は関係ないって学校でも習ったでしょ! ...ごめんね、ロウラと私は同じ村の出身なんだけど、こいつすぐ思ったこと言うから。」


「いや、ラーサ、俺は、」


「もうロウラは黙っていて。それにこんな賢そうな魔物だもの、貴方よりは役に立つわよ。」


「ちょ、ま、それは流石に、」


 クスクス。


 そこで笑い声を上げたのはカイルだった。


「ふふ、君たち今年の新人の1位と2位だっけ? 幼馴染とは聞いてたけど仲良いんだね。」


 ...私も思ったわ。何の痴話喧嘩だよ! って。


 ってあれ? 1位と2位?


「1位と2位って何のこと?」


「あぁ、新人はね、入ってすぐに総当たり戦をやらされるんだよ。僕は間に合わなかったけどね。それを元に今回のグループを組まれるというわけ。」


 それを元に? え、それって、


「だから、貴女も魔法師の中では強いんでしょう? シュルカ!」


 とキラキラした目でラーサがこっちを見る。


「は?」


「君はアラン師団長直々に教えてもらっているそうだね。」


「そうなの⁈ やっぱり凄いのね! ほら、ロウラもこれで分かったでしょ?」


「へぇ、そりゃ確かにすげぇな。」


 え、ちょ、アラン師団長が私を直接教えてるのは監視(と実験体)が理由であってそういうわけじゃ...


 <僕から直接教えてもらって出来ないってことはまさかないよね?>


 と頭の中のアラン師団長が笑いかけてきた。


 そんな幻覚を見ては、


「...全力で頑張るね。」


 とぎこちない笑顔で答えるしかなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます