11.ペアが決まりました

「わぁ、ふわふわですねこの子!」


 そう言って、足にじゃれついてきた黒い毛玉ような魔物を抱き上げる。


「その子はブラックドッグの子だ。闇に適性が高くて、主人の危険を察知してくれたりもする。」


「そうなんですね、すごく可愛いです!」


「あぁ。それにしても、相変わらず魔物が好きなんだね。」


 苦笑された。

 でも、本当に今日は楽しみにしていたのだ。

 実は、アラン師団長から明日は騎士団に行ってペアを決めてくるようにと言われてから凄くテンションが上がってしまって、昨日あまり寝られなくて絶賛寝不足だったりする。


 そして今、リード騎士長に飼育場を案内してもらっている最中であるのだが、どれも(当たり前だが)初めて見る魔物ばかりで少し歩いては足を止めてしまう。


「はい! どの子も綺麗です。えと、それで、ペアはどう選ぶんですか?」


「正確には選ぶんじゃなくて、選ばれる。それも、もう既に選ばれていると考えた方が良いな。」


「あ、そういえばリィナさんが、もう絆は繋がっているって言ってました。」


「うん。そこら辺がどうなっているのかはまだちゃんと解明されていないんだけど、どうも魔力の波長か何かで共鳴しあって、それこそ生まれたときから絆は繋がっているそうだ。」


「生まれたときから、ですか。」


「そ、ちなみに俺のペアはあそこにいる子だよ。」


 と指差す先にいたのは、8本の足を持った真っ白な馬。体躯はがっしりとしていて、いかにも軍馬といった装いだった。


「スレイプニルという魔物だ。足が速く、どんな魔物にも気後れしない。しかも空を飛べる。魔力は風適性だよ。」


「凄くカッコいい馬ですね。」


 きっとあれに乗ってる騎士長はもっとカッコいいだろうなぁ、と妄想が膨らむ。


「ふふ、俺の自慢の相棒だよ。それじゃあ、君の相棒となる子も探しに行こうか。」


「はいっ! ...あの、具体的にはどうしたらよいのでしょう?」


「魔力を感じるんだ。」


「魔力をですか?」


「そう、君の透明の魔力を自分を中心に広げるようにして意識を研ぎ澄ます。そうすれば自然と繋がるはずだよ。」


 そう言われて目を閉じる。

 自分の中にある魔力、それを引き出して、自分の体の外へ、そしてゆっくりと波が広がるように...。


「!」


 何かが呼んでいる気がする。

 いや、お互いの魔力が呼び合っているような...。


 その絆に従って歩いていくと、ある建物の前に着いた。

 リード騎士長を振り返ると、うん、と頷いてこう言った。


「入っても大丈夫だよ。何かあれば俺が君を守るから、今は絆の繋がりに集中して良い。」


 ...思わず顔が赤くなってしまう。

 それを隠すように、暗い建物の中に入る。


 呼び合っているのは建物のもっと奥のものからだった。


 そうして歩いた先にあったのは、


「...たま、ご?」


 銀色の卵だった。


「それは、この間の遠征で拾ってきたやつだな。まだどんな魔物が入っているのか分かっていなかったが。...これと呼びあったんだね?」


「はい、この子だと思います。」


 ふむ、と少し考えたリード騎士長だが、


「じゃあこの子は君に託そう。絆があるなら傷つけてくるようなことはないだろう。生まれたら報告してね。どんな魔物かによって戦い方も変わるから。」


 と言って卵を抱え上げる。


「ッ、はい、分かりました!」


「うん、じゃあシュルカ、この子が今日から君の一生の相棒だ。大切にするんだよ。」


 そう言って渡された銀色の卵はとても温かく、腕の中にすっぽりと収まったとき、その絆の糸がしっかりと形を帯びて繋がった気がした。


「必ず大切にするからね。これからよろしくね。」


 そう約束する。

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