4.王の苦慮(閑話)

「それで?どうだ?」


「そうですね、少なくとも間諜の類ではないかと。それにしては交渉が下手すぎますから。」


「シャリリグランの名を名乗らなかったそうだな。」


「えぇ、人質であろうと、一応は隣国の姫。あちらがシャリリグランを名乗ればこちらもある程度考えて接する必要がありますからね。」


「自分の身の保身を選択しなかったか。もしくはその意味にすら気づかなかったか、気づいていてなお名乗りたくないと思えるほどの何かがあったのか。」


「...魔力は?」


「透明でした。一応ではありますが、あの子はちゃんとシャリリグランの王家の血筋なのでしょう。魔力量もかなり多かったです。」


「ふむ。ということは魔物駆り、か。騎士団との連携もあるな。」


「えぇ、それに...。」


「アラン、良い笑顔だな。」


「あぁ、これは失礼致しました陛下。わたくしはこれで失礼致しますね。」


「あぁ、丁重に扱ってやれ。」


ニコッと笑い一礼して出ていく師団長を見守り、


「...ふぅ。あの者の魔法好きはもうどうしようもないな。」


思わず溜息をつく。


「それにしても...。」


哀れな娘だ。王族として生活してきた訳でもないのに、こういう場面になって人身御供として送られるなんて。


「しかもアランに気に入られるとはな。」


王として間違った選択をしたという気持ちは微塵もない。だが、自身も人の親、そういう意味ではあの娘には酷なことをしたと思うのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます