第646話 ソフィーも新たに決意
「あとは、モニカを説得する事だな。ユノは……問題なさそうだな」
「そうだね。モニカさんにもちゃんと言っておかないと。ユノはまぁ、大丈夫だろうね」
同じパーティなんだから、モニカさんにもちゃんと言っておかないと。
勝手に決めたけど、ルジナウムに行った時にでも話す事に決めた。
ユノの方は、俺が冒険者として活動する事に何か特別な事があるわけではないし、街を見たりするのは好きみたいだから問題ないだろう。
むしろ、俺やエルサを連れて率先して観光したがりそうだね。
「それでは、その間に私は自己研鑽に励むとするか。このままでは足手まといなままだからな」
「足手まといだなんて……ソフィーがいてくれて助かっているんだから、そんな事はないよ? もちろん、モニカさんもそうだけど」
「まぁ、補助くらいはな。とはいえ、まだまだCランク相当な実力しかないんだ。Aランク……もしかしたらSランクになるかもしれないリクとっては、足手まといになってしまいかねない」
「……ほんとに、そんな事は思ってないんだけどなぁ」
「リクが気にしなくても、私が気にするんだ。せめてAランクとは言わずとも、Bランクにはなっておきたいな」
「まぁ……ソフィーがそう言うなら……。でも、モニカさんもそうだけど、すぐにBランクにはなれそうだけどね。二人共頑張っているし、エアラハールさんからも鍛えられるわけだし」
「そうだな、そうなればいいが……。ほとんどリクのおかげで、身の丈以上の依頼を成功させて来たようなものだからな」
「皆の協力があってこそだよ。……うん、とにかくソフィーやモニカさんが、ランクを上げられるように応援するよ」
「余裕だな、リクは。それだけの実力があるからなんだがな。リクに追いつく……というのは無理でも、足手まといにならないようになってやるさ」
ニヤリと笑って、意気込みを見せるソフィー。
元々、自分に厳しく自己鍛錬を怠らなかない人だから、エアラハールさんからの指導があれば、すぐにでもBランクになれるんじゃないかと思う。
モニカさんもそうだけど、二人共頑張ればAランクにもなれるんじゃないかな? 俺でもなれたんだし。
「まぁ、本当にBランク以上を目指すのであれば、冒険者の依頼をこなして成功させなきゃいけない。実力だけがあっても、信頼できるかどうかは別だからな。リクの事だ、一切依頼を受けないとかではないんだろう?」
「まぁ……そうだね。今までのように、時間がかかったり難しそうな依頼は受けないようにするけど、簡単な依頼……それこそ、最初の頃に受けたような、薬草採取とか簡単な依頼くらいはね」
「……リクが受けると、低ランクの冒険者が困る程一気に達成してしまいそうだな……だが、そうする事で、私達も依頼達成率が上がって悪い事じゃないな。もちろん、リク任せにはしないが」
「うん、別に俺一人で自由になりたい、とかじゃないからね。皆で頑張ろう……というより、ゆっくりやって行こう」
のんびりする事に決めたからと言って、別にそれぞれ活動を分けるという事じゃない。
要は、時間がかかったり大変だったりする依頼を受けないようにしておいて、ゆっくりする時間を確保しようというだけだ。
もちろん、今回のように魔物が手段で襲ってきたとか、多くの人が危機に晒されているという状況になれば、助けられるように動くから。
あれ? そう考えると、今までと大きく変わっていないような気がするけど……気のせいか。
「ま、そうは言っても、どうせリクの事だ。大きな事にはまた首を突っ込まざるを得なくなるんだろうしな……」
「ん? 何か言ったソフィー?」
「いや……なんでもない」
「そう? あ、エルサ。こんなとこで寝たらだめだからなー!」
「お腹いっぱいで満足なのだわ~」
ソフィーがボソッと、何かを呟いた気がするけど、首を振って否定したので気のせいだったんだろう。
キューや料理を大量に食べて、満足そうにお腹を見せてテーブルに転がっているエルサを見つけ、寝ないように注意する。
そりゃ、エルサにとってはのんびりするという事だけで十分で、冒険者の活動とか細かい事は気にする事ではないんだろうけどね。
しばらく動きそうにないエルサのお腹を、モフモフしながら寝ないようにさせつつ、まだ残っていた料理を食べた。
俺とは別の方向から、ソフィーもソッと手を伸ばしてエルサのモフモフなお腹を触ろうとしていたのは、苦笑するだけで済ませておいたけど。
ソフィーに指摘したら、また誤魔化して我慢しそうだからね。
とにかく、明日からも鉱山内のエクスブロジオンオーガを探し出して倒し、ルジナウムの方も様子を見て、早くのんびりできるように頑張ろう!
姉さんにも一度報告しておいた方がいいかもしれないし、モニカさん達とも話さないといけない、フランクさんやノイッシュさんも、調査の事でまた話しをしないといけないか。
……やる事、いっぱいだなぁ。
―――――――――――――――
「それじゃ行って来るよ。多分夜には……遅くとも明日には戻って来るから」
「あぁ、わかった。気を付けて、というのはリクには不要か。こちらの事は任せてくれ」
「あはは、不要とは思わないけど、エルサもいてくれるからね。うん、無理はしないで」
「もちろんだ。無理というか無茶をするのは、リクの特権だからな」
「……そんな特権は欲しくないけど。――それじゃ、エルサ頼むよ」
「飛ぶのだわー」
のんびりする事を決意した数日後、ある程度ブハギムノングの鉱山での探索をして、報告のためにルジナウムへ向かうため、エルサに乗り込む。
街の外れで、あまり人から見られなさそうな場所で、ソフィーと話し、空へと浮かび上がった。
鉱山でのエクスブロジオンオーガ探索と討伐は、半分以上が終わっている状態だ。
まだ残っているのにルジナウムへ行くのは、フランクさんへの報告とモニカさん達の様子を見るためだね。
領主であるフランクさんは、ブハギムノングの状況も知りたいだろうし、あちらでの調査もどうなっているのか気になるから。
ついでに、一度王城へ戻って姉さんとも話しておかないといけないから、早くて今日中の夜、遅くとも明日には帰れるだろうとソフィーに伝えておく。
姉さんに引き留められたり、何かがあって時間が取られたら、一日じゃ足りないかもしれないからね。
やる事をやって、ゆっくり過ごす時間を作るために頑張らないと!
ちなみに、鉱山の方ではもうほとんど赤いエクスブロジオンオーガを見る事が少なくなり、遭遇するのはほとんど緑ばかりになっていた。
討伐する事に慣れたためか、緑のエクスブロジオノーガであれば、爆発させないようにさっさと倒す事がソフィーにもできるようになっている。
それでも、絶対赤いエクスブロジオンオーガがいないとは限らないため、無理はしないよう、見つけたら場所を覚えておいて撤退する事を決めて、とりあえずソフィーやフォルガットさん達に任せる事にした。
結界がないから無理はしないまでも、俺やエルサがいなくても探索が進むのはありがたいね――。
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