第41話:ウィッチテンプテーションワークス

「あなた、中々やるのね、惚れても良いかしら?」


気が付くと先程の美女が俺の方に腕を回してくる。


これ見よがしに二つの爆弾を俺に押し付けてくる。そういうつもりではなかったんだが。


「あんまりくっつくなよ」


「あら?照れてるの?意外とウブなのね♡」


美女の色香に惑わされ、頭がクラクラしそうになる。


「そんなんじゃぁねぇよ。これじゃあのナンパ野郎どもと一緒になっちまうじゃねぇか」


「全然違うわよ、アナタはワタシの好みだし♪同じ魔法使い同士、仲良くしましょうよ♡」


「まったく・・・俺はこんなつもりじゃ・・・。っておい、今なんつった!?」


「ん?アナタのこと気に入ったから仲良くしましょ、って言ったじゃない?」


「ちげぇ!そこじゃねぇ!同じ魔法使いってどういうことだ!」


俺は彼女から瞬時に離れて間合いを取った。一体どういう意味だ?


「アナタさっき魔法使ってたでしょ?上手く誤魔化してたけどワタシの目までは誤魔化せないわよ♪」


俺は彼女を凝視する。魔法使いは童貞限定じゃなかったのか?


女性の魔法使いがなぜ存在する?


陸のように変身をしているわけではない。


もしそうだとしたら近寄った時にすぐに気が付くはずだ。


「そんなに熱いまなざしで見られたら流石に照れちゃうわ♡」


「いやいやいや、そんなんじゃねぇから!」


どういうことだ?女性でも魔法使いになる方法があるのか?


だとしたら俺と同じ力を持つものが存在するのか?いやまて、それは考えにくい。


「お前、何が目的で俺に近寄ってきた?」


「あら?近寄ってきたのはアナタの方じゃなかったかしら?」


「あっ・・・そうだった」


俺は絡まれている彼女を助けに来たんだった。


彼女の方から俺に近寄ってきたわけではない。


少し落ち着いて考えなくては。少なくとも彼女に敵意はなさそうだ。


出会ったのも単なる偶然だろう。


だがどうしてもわからない。完全に女性なのになぜ魔法使いなのか?


思考を巡らせ、行き着いた一つの答えを彼女に問いかける。


「お前、もしかして?」


すると彼女は今までの飄々ひょうひょうとした態度とは打って変わり、青ざめた表情をしてこちらを見た。

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