第33話:出来すぎた事件解決
「たっだいま~」
「おかえりなさ・・・慧さん!その女の子どうしたんですか!?」
杏莉さんが驚きながら出迎えてくれる。当然の反応だろう。
「依頼人の娘さんだよ。安心しろ、寝てるだけだ。もうすぐ目を覚ますと思うぜ」
「わ、わかりました!依頼主の方に連絡しますね!」
「よろしく頼むよ」
そういって眠っている少女をソファの上に横たわらせる。すると少女が目を覚ます。
一通りの説明をして最後に確認を取る。
「木田治の事は・・・」
「わかってます。大丈夫です」
それ以上の話は不要のようだ。杏莉さんが電話を終えて話しかけてくる。
「すぐにこちらへ来てくれるそうです。慧さん、見つけてくれてありがとうございます」
「杏莉さんに礼を言われるのは・・・まぁいいか。とにかくこれで一件落着だな」
「はい!お疲れさまでした!」
依頼人が涙を流しながら娘との対面を果たす。少女はそれをなだめるかのように謝りながら話をしている。連絡を入れてしばらく経った頃、依頼人である五十嵐遥の両親は事務所へ駆け込んできた。
「無事に見つかってよかったです・・・」
「・・・そうだな、最悪の事態、って事にはならなくてよかったな」
「これも慧さんがすぐに解決してくれたおかげです」
「俺がいなくてもあの子は家に帰ってきたと思うがな」
「えっ?どういうことですか?」
「・・・なんでもないよ、それより腹減ったよ、解決祝いで美味しい物頼む」
「もぅ!後でちゃんと説明してくださいね!」
「ああ、わかったよ」
笑いながら杏莉さんにそう答える。
この事件の事をどう誤魔化すかまでは考えていなかった。
家出した少女たちを見つけるよりも難題かもしれない。
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