第30話:メイドインヘヴン
「「「おかえりなさいませ~!ご主人様~!!」」」
息が合って威勢のいい持て成しの言葉が、俺の耳を突き抜けた。
メイド服を着て頭には猫耳を付けた少女3名が、深々とお辞儀をしていた顔を上げるや否や、俺の元へ群がってくる。
・・・意味が解らない。
一人はグランドピアノを演奏している。曲はどこかで聞いたことのあるクラシック音楽で、姿はピアノコンクールに出場している人のようだった。
そしてもう一人は豪華なソファの上に華麗なドレスを着て座り込んでいる。
さながらどこかの城のお姫様といった
そのお姫様はこちらを
「あれ?ご主人様じゃないわねぇ?」
「もしかしてご主人様のお友達さんですか?」
「ご主人様がここに招いたんだからきっと大事なお友達さんに違いないわ!」
猫耳メイドたちが俺に話しかけてくる。少しずつ状況がわかってきた。
「・・・いや、別にそういうわけじゃ―」
「そんなところで立ってないで座って座って!さぁ~お客様にお・も・て・な・し・にゃん♪」
「こちらへどうぞ~♪」
「さぁさぁ早く早く~♪」
俺の言葉を
テーブルのそばにある椅子まで連れていかれ席に座らせられる。
「ただいま紅茶をお入れしますのでおまちくださいだにゃん♪」
一人の猫耳メイドが部屋の奥に向かっていく。
椅子に座りながら辺りを見回すとそこは明るい感じの喫茶店のような雰囲気だった。
ピアノの音色に心を奪われそうになってふとそれを奏でている人物を見つめる。
服装や髪型が違っていたので気が付かなかったが間違いない。
依頼されて捜索をしていた五十嵐遥だ。
他の猫耳メイドたちもよく見ると家出して失踪していた少女たちだ。
お姫様だけは見覚えがないが、恐らくは最初に誘拐された少女だと思われる。
「おまたせしましたにゃん♪本日のアフタヌーンティーはローズヒップになりますにゃ~♪」
そういって猫耳メイドが俺に紅茶を入れてくれる。
これじゃまるでメイド喫茶にやってきた客ではないか。
テーブルに肘をつき、頭を抱えながらも今ある状況を整理しようとしたその時―
勢いよく入り口のドアが開いた。
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