第22話:ブラフルーザー
「ふ、ふへへ!残念だったな、ワザと隙を作って誘ったんだ!まんまと引っかかったな!お、俺に勝負を挑まなければ焼け死ぬことなんて、なっなかったのに!フ、フヘヘハハ!」
渾身の魔力で放ったであろう業火に焼かれ、跡形もなく消え去る。
「よ、よし!邪魔者は消えた!こ、これで毎日家を燃やしまくれるぞおぉ!ハ・・・ハハ、アハハハハ!」
放火魔は高笑いをする。勝者の特権、自分の力に酔いしれる。
「確かに毎日家を焼けるかもなぁ?燃やしたのがこの俺だったらな」
俺は相手の頭を鷲掴みにして強く念じる。すると相手の全身に電撃が走る。
「あばばばば!な、なっなんで生きて!あがががが!」
「抵抗はしないほうがいい。少しでも何かしようとしたら・・・わかってるな?」
「はいぃい゛い゛い゛い゛い゛い゛わがりまぢだーぁぁぁががが!」
「お前がさっき燃やしたのは俺が作った『俺そっくりの氷の彫像』だ。お前は短剣を視認して撃ち落としていた。だから吹雪で視野を奪い、お前の予想通り死角から波状攻撃を仕掛け、最後に隙を見せたところに氷の彫像をぶつけた。お前がそうやって誘っているのはわかっていたからな。その間に気配を消してさらに背後を取る。後は勝ちを確信して隙だらけのお前を捕らえればそれで終わりって訳だ」
「く、くっ・・・わ、わっ悪かった、あ、あやまる。た、頼むから、こっ殺さないでくれ!!」
「さっき毎日家を焼くとか言ってたヤツはぁ・・・誰だったかなぁ?」
「ゆっ!許してくれ~~お願いだ~~~!!」
男はガクガクと震えながら涙声で必死に訴えかけてきた。
「お前が今までしてきたことを考えるとそう簡単には許せないな・・・そうだな」
そういって再度電撃を流し込む。
「あばばばば!や、やめてくれえぇぇぇ!もうやだあぁぁぁー!!」
「今お前の頭の中に爆弾を仕掛けた。起爆する条件は・・・魔法を悪用する事だ」
「わ、わかりました!も、もう悪いことはしなっ・・・しまっ、しません!」
「折角手に入れた力なんだ、もうちょい人の役に立つような使い方をしろよ?」
「はいぃぃっ!こっこれからは心を入れ替えますうぅぅ!!」
「わかれば、宜しい」
鷲掴みにしていた頭を離してやる。振り返ってこちらを見てくる。
目からは大量の涙を流している。相当ビビっていたようだ。
「あ、あっ、ありがとうございます!も、もう悪いことはしません!」
「まぁ・・・なにかあればお前が爆死するだけだから俺には関係ねぇけどな」
「ひ、ひぃ~!すいませんでしたー!!」
そういうと男は一目散に逃げて行った。これでもうあの男は放火を繰り返す事はないだろう。
(まったく、相手が調子に乗ってただけの小物で助かったな。爆弾なんて仕掛けちゃいねぇんだがなぁ)
会話の成り行きで必要であれば人も殺せる、と強がってはいたが正直そういった状況はあまり想像したくなかった。
相手が法で裁けないような人間であっても、俺が手を下していいという訳ではない。
それは本当にどうしようもない時の最後の手段・・・できればこの先そういった場面に出くわさないことを願いたい。
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