33話「殲滅完了」
カマキリが標的を割り込んできた俺に変える。独特な構えをとり、一気に俺に襲い掛かる。
普通の兵士や凄腕の冒険者にとって、こいつは間違いなく手強くて苦戦せざるを得ないモンストールなんだろうな。Aランクのレベルでもクィンやアレン一人では倒しきれないレベルらしい。
だが、相手が悪い。俺はテメーら上位レベルよりもさらに強い災害レベルの奴らをたくさん
「炎熱魔法。『
炎だけでできた細長い槍を生成し、それを豪速で投げつける。
避けることはできず、腹部にどすっと刺さり、発火する。
ぎいいい!っと悲鳴を上げて、刺さったまま後退するカマキリ。それを見やりながら、俺は、脳のリミッターを外す。
「200%解除。さらに、大地魔法」
同時に、大地魔法を発動して砂でできた壁を出現させ、さらにそれをトランポリンのような弾力を持った性質に変える。その砂壁を思い切り蹴って跳弾して、爆発的スピードを生み出して一気にカマキリに迫る。
そして渾身のラリアットをカマキリの首に食らわせる。
当たった瞬間、ドカンと大爆発した。左腕に爆破系の炎熱魔法を纏っておいたからな。爆発でカマキリの頭が吹っ飛んだ。体をビクビクしたのち、そのまま倒れて動かなくなった。死んだみたいだな。
生身に魔法を纏うのは、武器にするよりも簡単だが、下手すれば自傷行為につながることになるリスクがある。ましてや、爆破系などいちばん自殺行為だ。実際、今ので左腕が粉々になったしな。
「こ、コウガさん!その腕!!」
クィンが駆け寄りながら俺の左腕を見て激しくうろたえる。
「気にしなくて大丈夫だ。俺のことよりアレンがどうなったか、行こう!」
まだおろおろしているクィンの手を引いて、アレンのところへ向かう。
*
こいつじゃない。私の家族と仲間を殺したのはこいつじゃない。
大したサイズじゃなかった。...少し大きめの人族くらいのサイズだった。なのに、規格外の強さだった。
そいつが今回のクエストでいるかもしれないと思ったが、こいつではなかった。
それでも、今の私では苦戦してしまっている。この程度では、私の仇敵を倒すのは到底叶わない。
これではだめだ。もっと強くならなきゃ。誰のように?
コウガ。彼は、私の目標だ。彼についていくだけでは強くなれない。彼の戦いを見て、私も同じことができるようにする。
そうすることで、コウガに少し近づける気がする。
だから、このモンストールは踏み台だ。私が強くなるための踏み台だ。そして復讐でもある。この世からモンストールを滅ぼすことも私がやりたいこと!
そのために、ここでさらにっ!
体に違和感が生じた。何か、力が溢れてくるような感覚だ。
というより、体が大きくなった気がした。目の前にいる大猿との目線が変わった。まだあいつより背が低いが、さっきよりも強くなった気がした。
「神速」を使うとさっきよりも速く動けるようになっている。大猿の背後に回り込む。私の動きについていけてないようで、背後ががら空きに。
「
いける。そう確信して、私に気づいていない大猿の背中を目がけて駆ける。
「見切り」で急所を見定め、そこに鬼族特有の「金剛撃」を発現した豪腕とさっきより純度が増した雷の鋭利なオーラを合わせた一撃を叩き込む!
ズンといった音と雷のバチバチ音が同時に鳴り響く。
大猿は、突然自分の腹から出た手を見て驚愕の顔になる。やがて、急所を正確に突かれたことに気づいて、力なく倒れる。血の塊を吐き出して、そのまま動かなくなった
*
「あれは…」
アレンのもとへ来た時、彼女の体に変化が見られた。身長が数10㎝伸びて、筋肉の体積が増加し、鉄色の皮膚に変化した。さらに、雷のオーラも鮮やかになり、「神速」のスピード、大猿を貫いたあの攻撃力。全てが前よりレベルが上がっていた。
「鑑定」でアレンの身に何が起きたのか確かめてみる。
ステータスが全て洞窟で見た時より5倍くらい跳ね上がっていて、固有技能に新しい項目が出ていた。
『限定進化』 魔族特有の形態変化技能。一時的に、形態・ステータス・技能を全て大幅強化させる。戦闘が終われば、全て元に戻る。レベルの上昇に比例して、強化の規模も大きくなる。
戦闘中において限定的にパワーアップする仕組みか。ゲームで見た何とか進化って戦闘で進化のさらに上の進化が起こるのと同じものか。
なんにせよ、アレン一人でAランクのモンストールを倒したみたいだ。彼女はもうSランク以上の強さを持っているな。
これで、群れは全滅。クエストクリアだ。
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