天藍エンゲージ! ー新人女子パイロット空戦記ー

作者 相葉ミト

「薄花桜」は美しい小説の色。

  • ★★★ Excellent!!!

・緻密な航空機、飛行シークエンス、格闘戦の描写

・ツンデレ教官とサポート百合AIとの三角関係(?)

・総力戦を否定する、という目的に沿って、ロジカルに設計された物語世界

「空戦×ラブコメ×SF」の名に違わない傑作であり、それぞれの要素を眺めるだけでも楽しめる今作。一見するとバラバラに思える、それらの要素をまとめあげた作者の技量は言うまでもないのだが、一つ、注目したい存在がいる。

それは、主人公ユキの命の恩人と説明される「薄花桜」のことだ。ネタバレになってしまうので、あまり詳しく書けないが「薄花桜」は「空戦×ラブコメ×SF」の三要素が、高い水準で物語へと昇華した、その証のように思える。

深く深く物語の核にまで届いた、その設定の手際は、まさしく脱帽の一言。「薄花桜」はただユキが再会を願うだけの相手ではなく、彼女たちが生きる世界の在り方にまで、影響を与えただろうと推測できる。

「天藍エンゲージ」は美しい完結を果たしながら、意図的に残された作品の余白に、続編を期待せざるを得ない作品である。恐らくは、ユキの出自にまで関係するであろう「薄花桜」の、今作における活躍と、素晴らしい小説を完成させた作者の今後の動向に、注目していただきたい。

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