最高の女の子症候群

作者 jyu_yon_sai

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★★★ Excellent!!!

ネット小説でここまでのものが読めるとは、驚愕でした。

特に三秋縋さんの影響を色濃く受けており、フレーズやシチュエーションが割とそのまま出てきたりします。
しかし、この作品は決して模倣ではなく、和歌でいう「本歌取り」のように先行作品の素晴らしいところを拝借しつつ、新たな魅力を創り出すことに成功しています。

中でも、三秋縋さんの『君の話』の影響を色濃く受けていると感じました。
『君の話』は村上春樹さんの『4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』に対して、作者なりの解釈というか、新しい可能性を提示した物語であるといえます。
そしてこの作品は、そんな『君の話』に対して、さらにその一歩先を提示することができたのではないでしょうか。その一歩がいかに偉大であるかということは、『君の話』を愛する人達にこそ伝わるのではないかと思います。

次に、キャラクターの魅力。
主人公から端役に至るまで、とにかく誰もが幸せになってほしいと祈らずにはいられない、素敵なキャラクターばかりでした。
ユーモアがあって、知的で、シニカルで、でもどこか儚く、不器用な、そんなキャラクターたちが大好きです。

物語を彩るノスタルジックな風景や、愛しさに溢れたなんでもない時間、美しい音楽に彩られた舞台が、物語に芳醇さを与えている、そんな空気感も、印象的でした。
たくさんの素敵な物語や音楽に触れ、それをしっかりと栄養にしている、そんな作家性を感じます。

三秋縋さんが好きな方にはもちろん自信を持ってお勧めできますし、そうでない方でもシンプルに物語そのものを楽しめる、そういう作品に仕上がっていると思います。