第13話 良好そうで
昨日……ではなく、一昨日は申し訳ない。一日分投稿できずに居ました……( ̄▽ ̄;)
実はその日は夜に用事があったので、その一日前に事前に連絡したつもりが、普通にノー連絡でございました。本当にごめんなさいm(_ _)m
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ところで、この学校の生徒は基本的に優秀だ。そもそも入学試験のボーダーラインが、(俺やソティでは分からなかったが)非常に厳しいこともあり、入学する生徒は最初からある程度の実力を持っている。
その中でも特に上位に入るのが、目の前のリーゼロッテとレオンとなる。恐らく全クラスで見ても、確実に上位に名を連ねる実力者だ。
それは客観的な評価からして明らかであり、レオンは男子の中でも特に人望があったり、頼られていたりするし、リーゼロッテは孤高(孤独と言うと本人は怒る)な存在ではあるが、試合ではその実力から期待されている。
つまり、うちのチームはこの2人がいることで、並大抵の相手を寄せ付けない強さを持っている……あくまで、単純な戦力足し算の話だが。
だがそんな2人は何気今までチームを組んだことがない。恐らく俺がいなければ、接点を持つこともなかっただろう。
だから連携を早々に練習するという案は、このチームの戦力を上昇させるのにとても効果的なのは確かだ。
予想はいい意味で裏切られ、リーゼロッテとレオンの連携はなかなかだった。とは言っても、基本的にはお互いの攻撃が被らないようにするぐらいのもので、コンビネーション攻撃は最後のものぐらい(しかもそれはソティが決めた)だったが、それでも十分だろう。
お互いに邪魔にならない時点で、戦力は引き算にはならない。その時点で足し算なのだ。
それが如何に掛け算に変わっていくのか、というところだ。
ただ、運用に困るのはソティだ。今回の戦闘は最後の攻撃以外は上手くいっていたし、レオンの助太刀に入ったりなども出来ていたが、意思疎通が上手く取れないのは結構厳しい。
例えば俺は、最悪行動を逐一観察することで、先を読むことが出来る。だが、それを戦闘中に敵も見ながらで行うとなると、レオンやリーゼロッテには難しいのではないかと思う。
ソティとの連携は不確定要素が強い。俺とソティでマンツーマンになるのが一番いいだろう。
あぁ、マンツーマンだ。
………。
ソティさんや、終わって早々俺の元に駆け寄ってきて手を引くのはなんなのですか。
ちょっと息を荒くしてるのはなんなのですか。
期待するような目で見てくるのはなんなのですか!
俺は下から見てくるソティにツッコミを入れたかった。
……いや、分かっている。予感はしていた。というか最早驚くこともあるまい。
魔法を使って、魔剣も召喚して、こうなることはむしろ必然だ。
「悪いが、もう少し待ってくれ」
「………」ぎゅっ
魔力が無くなると途端に俺との密着度が高くなる。恐らく病気の時に弱気になるみたいな感じだと思うが……。
幸いにして今は実習中。俺たちは多少なりとも注目を集めていたが、それも練習が終わったあとは霧散した。
ミリア先生も他の生徒の所へ行ったようだし、抜け出すのは容易だ。
あとは、リーゼロッテとレオンだが……まだ練習が終わったあとの言葉もほぼ交わしていない。
現に二人は俺へと顔を向けている。ソティのこのスキンシップは、いつものことと気にしていないようだ。
むしろ気にしてくれた方が抜け出しやすいんだが。
「それにしても、本当に1人で勝てるのね……一応それなりで挑んだんだけど」
「まぁ、これでも理事長からお墨付きを貰ってるからね」
「ホント、イブは反則じみてるよなぁ。一体どんなステータスしてるんだか……」
何とも言えないので、俺は苦笑いを返した。
「にしてもあれだな、イブ1人にも勝てないんじゃと思ったが、こりゃ何人居ても勝てん。リーゼロッテの魔法が無効化された時点で負けを覚った」
「……一体どんな方法を使ったの?」
「いや『
「でも、貴方は私より先に魔法を唱えてた」
「あー……まぁ、勘に近いかな?」
「だとしたらビックリする精度の勘ね」
本当は勘ではない。予想、予測は未来予知がなくても出来る。魔法を発動しようと意識した瞬間に、魔力は無意識に動くものだが、それを察知するまでもなく、先は見える。
表情を読んだ、行動を読んだ、思考を読んだ。どれも合っているようで違う。
「……それで、貴方はどうするの? 貴方だって、私達と連携ができるとは限らないでしょ?」
「いや、俺はいいよ。別に練習しなくても合わせられるし……何より、練習相手がいない」
「サラッと嫌味を言ってくれるわね」
「」
リーゼロッテの苦い顔に肩を竦めて、少しだけ間が空く。
今がチャンスか。
「ところで、悪いんだけど少し抜けてもいいかな」
「何故?」
「あー……」
リーゼロッテの最もな簡潔たる質問に、俺は少しだけ声を潜めて答えた。
というのも、これを言えばリーゼロッテがどんな反応を取るのか、何となくわかっているからだ。
「ソティの魔力補給」
「……そ、そう」
小さくない間。明らかな動揺。
しかしリーゼロッテは、止めようとはしなかった。
「は、早くしてきたら? あの子が練習に参加できないのは問題だし……」
「ごめんリーゼロッテ、感謝するよ」
どうやら内容を理解していながらも、否定はしないようだ。止められる可能性も視野には入れていたが、そういうことなら遠慮なく抜けさせてもらおう。
「お、イブはなんか用事があるのか?」
「レオン君、貴方は私ともう少し反省会よ。さっきの練習、反省点がいっぱいあったもの」
「は? いやでもイブは何だって……」
「私と反省会、するわよね?」
「あ、はい、させていただきます……」
しかもレオンの気を引くことまでやってくれている。これは余程練習を早く再開したいか、もしくは別の意図が見える。
まぁ年頃の女子だ。同年代であることを考えれば、例えここが異世界であることを考慮しても、考える内容は想像に難くない。
あの時の状況から照らし合わせても、リーゼロッテは確実に目にしているだろうし、それを見た上で許可しているのだ。多少の好奇心が入っていてもおかしくはない。
その好奇心が今はありがたい。ようは、変な意味で気も使っているのだろう。
リア充を毛嫌いしてはいたが、そういうのには興味があるなんて、後でつつけば面白いかもしれないが。
俺はレオンがリーゼロッテに気を取られているうちに、ソティを連れて抜け出した。
◆◇◆
「……早く戻らないとっ、ダメだぞおい」
酷い脱力感に襲われながら、俺は呟いた。
可愛いことに、ソティは魔力が無くなると寂しさを紛らわすように密着してくるが、魔力補給の後の場合、今度はやたらと甘えてくるのだ。
そしてその甘えは、最近だと結構長時間続いたりする。
下から上目遣いでじっと見てくる、腕に抱きつく、正面からハグ。そのぐらいならいいが、啄むようなキスや、挙句の果てには人気のない場所に連れて行こうとまですることもあるため、気が気でない。
まぁいいが。キラキラとした目をたまに俺に向けてくるソティは可愛いものだ。無表情の中に感情のようなものを感じる。
既に一週間近く、四六時中一緒に過ごしているのだ。日数で見れば短く感じるが、時間で換算すれば結構長い。家族同然、いやそれ以上に一緒にいるのだから。
ソティが真に無感情などとは思いもしない。それぐらいは理解しているつもりだ。
まぁそんなことを言いながら何をしているかというと、ソティはいつも通り俺の首に腕を回して、ちゅっちゅちゅっちゅとこれでもかとキスをしている訳だが。
こういう時、絶対に舌は入れてこない。何かこだわりがあるのか、俺の精神力を削りに来ているのか、どちらにせよ、こっちの方が何故か意識してしまう。
「はい終わり、終わりだソティ。俺の唇を腫らすつもりか」
「………?」
どうやら意味は伝わらなかったらしい。ともかく、止めてくれたので良しとする。
魔力は……数十万単位で吸われたか。もう回復はしたが、俺の唾液は枯れたぞ。それに加え、さっきの軽めのキスでも微量ながら吸われるんだよな。
さて、さっさと戻るとしよう。あまり長居すると流石に変に思われる。
特にリーゼロッテには、時間をかければかけるほど変な想像をさせてしまうだろう。
その時は……少しよそよそしい視線を貰うことになるだろうが、仕方ない。
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