第3話 如何に状況を誤解させるか
ほら、これが見たかったんだろう……?
………すいません、エロの思考が抜けきって無いようで。でも皆さんも見たいでしょ、こういうの。
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「───はぁ、んっ……あぁっ!」
薄暗い室内に、甘く、艶のある声が響いた。
少女はハッとして口元に手を当てるも、自然と出てしまうその声は、それだけでは抑えることが出来ない。
「ちょ、は、はげしぃっ」
「ゴメン、辛かったか?」
「っ、う、ううん、だいじょうぶ、んっ、だから……つづけて、いいよ……」
俺は心配になって尋ねるが、少女は首を横に振る。迷惑はかけられないと思っているのか、必死に奥から出てくるのを抑えながら、途切れ途切れの答えが返ってくる。
それでも、身体に走る
「はぁ、はぁ……んぅっ………ご、ごしゅじん、さまぁ……」
「もう少しゆっくりにするよ」
上目遣いに、潤んだ瞳を向けてくる少女───ルナは、なにかを訴えるように声を出す。
少し荒い呼吸、酸素を求めるように大きく口が開けられ、糸を引いた口内が顔を覗かせる。
その口から吐かれる湿り気のある吐息は、とてもルナの見た目からは想像出来ない色気を含んでいた。肉体年齢を考えれば、どこか犯罪的な側面があってもおかしくはないだろう。
快感に身をよじるルナに、俺は少し動きをゆっくりにした。
だが、既にある程度の快感が走っているため、ルナの呼吸はますます荒くなる一方で、起伏の乏しい胸が何度も動く。
そして、その時は訪れる。
「あっ、ダメッ、はぁんっ! ご、ごしゅじんさまぁ、このまま、じゃ、もう、わたし、いっちゃ────」
来たる快楽に身を任せ、ルナが背中を大きく仰け反らせようとした瞬間だ。
「はい終了っと」
俺はスッと額に当てていた手を離し、
押し寄せる波が来なかったために、ルナは呆然として、俺に顔を向ける。
対する俺は、『ん?』と首を傾げる始末だ。
ルナは酷く顔を赤くし、キュっと唇を噛み締め、まるで何かに耐えているように見えた。
恥ずかしげに顔を俯かせるルナ。そのお腹に当てられた手をこれみよがしに見て、俺はようやく事態を把握したとばかりに「あぁなるほど」と白々しく頷き。
「消化不良なら、俺外に出とこうか?」
「っ、ご、ご主人様のバカっ!」
飛んできた平手打ちを、俺は身を翻して避ける。
その間、ずっと同じ部屋にいたミレディは、顔を赤くしながらも、ひたすら無言でいた。
◆◇◆
とまぁ、俺がやっていたのはもちろんいかがわしいことではなく、単なる魔力補給である。
いや、目的はそれであっても、ルナの方に焦点を当てるなら、襲っていた感覚は"快楽"そのもののため、いかがわしいと言えなくもないが。
現在もルナの顔は赤いが、それは恥ずかしさからであるはずだ。既に先程の感覚は、俺が不意打ち気味に魔力を流したことで
その際あられもない姿をルナが晒していたとしても、俺は全く気にしない。本人がどう思おうが、俺の足を踏もうが、特に気にしない。
魔法の訓練中に悶々としたままでは、効率が落ちるだけなので、それを解消するのは合理的であろう。
本当に嫌がっているようなら、俺だってやらないしな。
現在位置はアールレイン王国王都、そこにある宿屋の一室だ。
ハルマンさんとは別れており、部屋には俺、ルナ、ミレディの3人。そこで、魔法の訓練を早速してみようということになったのだ。
とりあえずルナの方からやって見て、結果は上々と言えるだろうか。魔力操作から始め、ある程度の属性の発現(火、水、風)までは、俺の指導もあってつつがなく進んだ。
とはいえ、『
これならば、可能性は十分にある。
まぁ、その結果、ただでさえ少ない魔力を切らして、さっきのようになった訳だが。
やはりレベルアップか、もしくはそれ以外の方法でどうにか最大魔力量を増やすしかない。さもなくば、あと何回魔力補給をやらなければいけないことやら。
そんなことになれば、ルナが恥ずか死ぬぞ。もしくは悶え死にか? とにかく、俺に対する評価がどんどん下がっていくからな。
「さて、とりあえず、基礎はどうにかなったみたいだし、あとは日頃の鍛錬かなぁ」
「もういやぁ、お嫁に行けない………」
「人聞きの悪い。言っとくけど、単なる対処に過ぎないからね」
「立場を利用したセクハラよ!」
そう言われてしまうと、むっと詰まる。だが、別に興奮していた訳では無いのだし、構わないだろう。
背徳を感じたのはノーカンで。それが興奮に結びつかなければいいのです。
「そもそも、もっと他の方法で出来ないわけ!?」
「魔力の補充? うーん、そうだね……」
俺は、少し考えてみる。まぁ、確かに他にあればそれに越したことはないのだが。
「……試したことは無いけど、有り得るとしたら、体液の摂取とか?」
「体液の摂取って……っ!? まさか……」
「まぁ、ディープキスか、ぶっちゃけると"セックス"かな」
「せっ、せせせせっ!?」
「~~~っ!?」
変な空気にしたくなかったから俺はスラスラと答えたが、あいにくルナは女子だ。反応せざるを得まい。
ミレディが視界の隅でオーバーヒートしているが、初心な反応でなにより。
これはあの子の特権だよな。見ていてとても可愛い。嗜虐心は、自制できる範囲なのを確認して、真面目顔で続ける。
「効率はわからないけど、まぁ体液に魔力が含まれてるのは確認済みだし、摂取すれば身体の中で自分の魔力に置換されるんじゃないかな……やったことないからわかんないけどね」
「そ、そんなの出来るわけないでしょ!! というかやったことあったら異常よ! この変態! スケベ! ロリコン!」
「おいおい、俺は真面目な───いやロリコンは関係ないだろ!」
小柄な少女を2人も奴隷にしてるロリコンとか、性犯罪臭しかしないんだが。それに、心当たりが全く無いと言いきれないのも一つだ。つまり、図星だ。
柄にもなく声を張り上げると、ルナがビックリして、ミレディは肩を大袈裟に震わせた。
「えっと、そ、そんなに嫌だったの?」
「……いや、気にしないで。過剰に反応した時点で俺は負けだから」
珍しく感情を露わにしたからか、ルナはさっきまでの攻撃的な反応を潜めて、訝しげに聞いてきた。
図星をつかれたから、とは言えないだろう。なにより、俺だって認めたくはない。というより、俺の年齢なら、中学生はまだロリコンに入らないのでは? とむしろ正当化してみたり。
"シスコン"ならば甘んじて受け入れられるのだが。いやもちろん認めはしないが、残念なことに、シスコンと言われるだけのことをしている自覚はあるのだ。
まぁ、妹もまたブラコンであるのは、自分で言うのもなんだが疑う余地もないため、そこがまだ救いだろう。気になるのは、どちらが先だったかという事だが……考えたところで関係あるまい。
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