第15話 チラリズムこそ最高の至福
「おぉ~、ここがボス部屋ってやつだな!」
「入ったら出れないに一票!」
「同じく」
時間的にはそろそろ過ぎそうだが、ボスと合わせると良い時間帯になりそう。今日はこれが最後の戦闘となるだろうな
「ポルターガイストだったよね?やっぱり鎧を壊すとか?」
「そこら辺は取り敢えず試してみるしかないかな?」
「よし、まずは行ってみましょう。話はそれからよ」
どうやら話はまとまった様子。5人が揃って中に入っていくので、俺もピッタリと後ろをついていく。じゃないと転移でもしなきゃ入れないからな
そもそも転移で入れるのかは試していないが。迷宮の中だし、何があっても不思議じゃないという
魔力が集まり、渦を巻き、現れるのは、中身が真っ黒で何も見えない全身鎧
リビングドールという名前の方がしっくりくるが、生憎鑑定は奴が『ポルターガイスト』だと告げている
「取り敢えず寛二君と紫希ちゃんは防御に専念して!私達で壊してみる!」
「了解!」
「おうよ!」
前衛2人が駆け出し、ポルターガイストと相対する
ポルターガイストは剣を持って(?)おり、人間の可動域を無視した変則的な攻撃をしてくるのが特徴の一つだ。
「な、何この動き!?」
「避けづらいなっと」
宙に浮く剣はフラフラと浮遊しながら、時に強い攻撃、時に連撃を繰り出す。その場所は決まっておらず、鎧と離れても問題ないために、後ろに回り込んでくることもある
鎧は鎧で、捨て身の突進をしたりするために、そちらにも注意を払わねばならず、戦況は2対1ではなく2対2に近かった
防御だけに意識を割いているから、どうにか被弾せずにいるのだ
「二人共避けて!『
「からの『
「プラス『
後衛組から掛け声がかかり、突然のことにも動じずちゃんと避ける前衛組
陽乃ちゃんがまず中級火魔法の『
ポルターガイストの足元から発生した炎の柱が、剣と鎧を包み込み、金属でできた二つは熱を増して真っ赤に燃える
そこに今度は飛鳥ちゃんの『
───まぁ分かってきたな、うん
それに向けて、最後に雫ちゃんが威力絶大の『
轟音と共に氷山諸共爆発する。黒い煙が立ち込め、それが消えると、そこに残っているのはバラバラに散った金属片のみ……
急激な温度差による耐久値の急速な損耗ですね分かります。理科で習ったっけなー。でもどんな名前だったか忘れちまった
「もう動かないか?」
「じゃない?あんなにバラバラになったんだしさ」
一番近くにいた前衛2人がそう言いながら破片に近づく。雫ちゃん達も既に戦闘は終わったと見ており、完全に勝利の祝杯ムードだ
───ま、終わりじゃないんですが
「ちょっ!?」
「うわぁっ!?」
「な、何!?」
突然悲鳴をあげる2人に、なにごとかと顔を向ける飛鳥ちゃん達
視線の先には、襲いかかる金属片を驚きながらも避ける2人の姿があった
「た、倒したんじゃなかったの!?」
「いっつ、御門気をつけろ!後ろからも来るぞ!」
「ウッソでしょ!?」
バラバラになった金属片は、その一つ一つがまるでなにかに操られるかのように動いている。前後左右上、5方向から来る攻撃に対応せねばならず、流石の2人も焦っている様子
その攻撃の手数は脅威的で、先程よりも
「あ、ポルターガイストだから、ものを操ってる……てことは、ちゃんと本体がいる?」
「そ、そういうことは先に気づいてよ!わわっ!?私の服が破けるぅ!!寛二見ないでよね!!」
「ガッ!?殺す気か!?」
雫ちゃんが気づいたように声を上げ、それに対し御門ちゃんが叱責を。しかしそれどころではない様子。襲いかかる金属片により、御門ちゃんの服はあちらこちら破け気味
……思考速度、速めちゃダメかな?ダメですよねはい。いや、まぁ眼福というか、完全記憶様に頼りましょう。うん
なお、野村君は御門ちゃんの華麗な回し蹴りを食らっていた。確かに『殺す気か!?』と言っても仕方の無い状況だと思う
「あ、あっちになんかいるっぽい!」
雫ちゃんの言葉を聞いて、辺りを探していた陽乃ちゃんが部屋の隅を指す。そこには真っ黒い塊が蠢いており、明らかに異質な魔力を放っていた
「ッ『
その声に応え、飛鳥ちゃんが詠唱破棄で魔法を発動する
恐らく光魔法なのだろうが、俺の知らない魔法。発動した瞬間に、その黒い塊を対象に神々しい光が放たれ、そして同時に熱が生じる
効果としては、光系統の熱魔法というとこか。火魔法との違いはあまりないが、得意な属性の魔法で他の属性と似た効果を引き出せることに意味がある
光のせいで、何がどうなっているかはわからないものの、光が収まった後には、床と壁が黒く焦げている以外は何も残っていなかった
それと同時に、御門ちゃんと野村君を襲っていた金属片もカランと床に落ちる。ただ、それ以上に目を引くのは、同じように床に倒れ伏している野村君と、自身の腕で身体を隠すようにしている御門ちゃんだった
……
「うぅ……こんな格好……」
そう泣きそうな御門ちゃんの状態は、既に半裸と言っていい状態だった。胸や肩に付いているプロテクターこそ壊されていないが、代わりに布部分は7割方壊滅していた。そのお陰(?)で白い肌が所々顔を覗かせており、大変艶めかしい
こう、恥ずかしさから来ているのか、赤い顔なのもいいし、体を震わせるたびに、脇や太ももあたりから見える下着もこう、そそるものがあるというか……チラリズムを理解してますね
───なるほど!つまりこれが今回の褒美なんだな!!満足満足!!眼福眼福!!
取り敢えずそう思うことにした
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