第16話 最強(になるかもしれない)スライム
「帰んのめんどいし、ここでやるかぁ」
スライムを乱獲した後は、迷宮の通路で左右の方向に『
「えーっと、スライムを作るためには確か核を錬成するんだよな。全部使ってみるか?」
現在、俺の手元には様々なスライムの核がある。
ブルースライムの核×83
レッドスライムの核×65
グリーンスライムの核×77
イエロースライムの核×68
ホワイトスライムの核×46
ブラックスライムの核×57
ヌルスライムの核×49
ヒールスライムの核×58
グラビティスライムの核×32
アンプロードスライムの核×31
各種スライムの核、合計566個。如何に俺がスライムを倒したか分かるね。
まぁ一階層がメチャクチャ広いから、リソース的に敵が枯渇することは無いわけで、移動も俺の場合超高速だから楽勝。
というか全属性揃うとは思わなかった。ホワイト、ブラック、ヌルはそれぞれ光、闇、無属性で、弱点は闇、光、無属性は無しとなっている。最後の3種も回復、重力、時空属性だ。レアなのか、全然出なかったけどな。
「つーか、違う種類のやつ入れても大丈夫だよな? 爆発したり変なやつが生まれたりしないよな?」
ふと、何となく失敗した時の可能性を心配。相克起こしてドカンとか、謎の生命体が生まれるというのは勘弁だ。
「まぁ、毒を喰らわば皿までだよな。毒くってないけど」
強いて言うならスライムを乱獲したことか。
一つ一つは小さい核を、566個全て出す。核にはそれぞれ『ブルースライムの核(175)』と、レベルがちゃんと一つ一つに表記されており、全体の平均値は172だ。
「1%は必ず失敗の可能性があるんだったよな……ここは運に任せるか」
こんなことを心配してはなんだが、オリハルコンの件がある。あれは運がどうこうではなかったが、やはり引きずる一因にはなっているのだ。
「さぁてと、やりますか! 『錬成』!!」
床一面に広がったスライムの核を全て対象にした錬成だ。期待してないといえば嘘になる。
手をパン! と合掌し、魔力を込める。量が量だけに流石に一瞬で魔力を巡らせるのは不可能だ。
というより、これを出来るのは俺ぐらいしかいないのではないか。ただでさえ精密な魔力操作技術を必要とする[錬金術]で、言わずもがな低い───何故か戦っているだけでスキルのレベルは全体的に上がるので1ではない───スキルレベル。
まぁ無理ゲーと言わせるのも無理はない。
だが、俺の魔力操作技能は何故か天才的。というのも、恐らくスキルや勇者スペックによる依存が強いと思うのだが、それでも少なくない才能があるはず。
そんな俺の魔力操作で、およそ10秒をかけて全ての核に魔力を通し終えた瞬間、いつぞやの再現のように、しかし、今度は真っ白い煙が広がる。
「うおっ!? おいおいおい、まさかまたじゃないだろうな!」
脳裏を嫌な想像が過ぎる。なんせ使用した素材の数が尋常じゃない。失敗の確率が100%という可能性もあるのだ。
取り敢えず体に悪そうな煙を『ちりとり』で片付ける。急激に収束し、消えていく煙。そしてその煙が晴れたところにあったのは果たして─────
「……お、おお、おおお!! これは!!」
───プルプルと震えるスライムが、スライムの核の代わりに鎮座していた。
◆◇◆
とうとう手に入れた───と言っても決意したのはわずか数時間前だが───スライム。歓喜の声を上げた俺は、暫くその場で喜んでいたのだ。
そうして落ち着いた頃、一向に攻撃してこないこいつが、少なくとも俺に敵対していないことがわかった次第だ。
「さて、このスライム、一体どうなっているのか……」
ワクワクドキドキ、と俺は胸を高鳴らせながら鑑定を掛けたのだが。
俺はその内容に少しだけ頬を引き攣らせた。
─────────────────────
固有名称無し 0歳 性別不明
種族名称無し
主『夜栄刀哉』
レベル1
【生命力】10000
【魔力】500
【筋力】200
【体力】1000
【知力】500
【敏捷】100
【器用】300
【運】50
保有スキル
戦闘補助
[体当たりLv.1]
運動
[高速移動Lv.1][這いずりLv.1]
魔法
[魔力操作Lv.1][魔力隠蔽Lv.1][魔力感知Lv.1]
[火魔法Lv.1][水魔法Lv.1][風魔法Lv.1]
[土魔法Lv.1][光魔法Lv.1][闇魔法Lv.1]
[無魔法Lv.1][回復魔法Lv.1][重力魔法Lv.1]
[時空魔法Lv.1]
強化
[体力強化Lv.1][知力強化Lv.1]
[火属性耐性Lv.1][水属性耐性Lv.1]
[風属性耐性Lv.1][土属性耐性Lv.1]
[光属性耐性Lv.1][闇属性耐性Lv.1]
[無属性耐性Lv.1][重力属性耐性Lv.1]
[時空属性耐性Lv.1][回復効果強化Lv.1]
ユニークスキル
[粘液操作Lv.-][色彩変化Lv.-][擬態Lv.1]
[物理攻撃無効Lv.-][物理衝撃完全吸収Lv.-]
[魔法攻撃半減Lv.-][魔力吸収Lv.1]
権能
〔暴食Lv.1〕
称号
《超越種》《新種》《大罪持ち》《暴食の化身》《従魔》《スライムの頂点》《全属性保持》《全属性耐性保持》
─────────────────────
「全属性の耐性に、[物理攻撃無効][物理衝撃完全吸収][魔法攻撃半減][魔力吸収]……だと?」
俺は戦慄する。なんせ、これを総合すると。
・物理攻撃は一切効かない
・衝撃は完全に吸収するから落下死や飛び散りによる身体の破損は無い
・魔法のダメージは半減
・魔力は吸収
・全属性に耐性があり、弱点はない
え? 何それヤバくないとなる訳で
「お前……ヤバイな」
『プルプル?』
俺の言葉に、スライムは体を揺らすだけだ
少し時間を置いて、考察タイムと行こう。
まずさっきは防御系統に目がいっていたが、こいつの真価はそれだけではない。
まず種族名だ。『種族名称無し』というのと、称号の《新種》というものから、こいつは全く新しい別種族だと言える。
更に《スライムの頂点》ということから、スライムに属しているのもわかる。まぁ見た目が完全にスライムだからな。
スライム族の何かという感じか?
というか、これは俺が勝手に名付けていいのだろうか。ついでに個体名も決めていいだろうか。後で考えておこう。
主『夜栄刀哉』という項目は、そのままだろう。俺が[錬金術]で作り出したからそうなったという話だ。まぁステータスからでも俺が主になっていると分かったのは朗報だが。
そして何気に凄いのが、レベルに対するパラメーターだ。
パラメーターは、【生命力】が1万と、今までの鑑定結果からすると幾分か低く感じるのだが。
その他のパラメーターに関しても、全て俺と同等かそれ以上。特に【体力】や【知力】は高すぎる。1000と500だ。
一体レベルアップしたらどうなってしまうのか。流石に成長力の問題で俺より高くなるとは思わないのだが、そこら辺の奴よりは圧倒的に強くなりそうだ。
スキルに関しては、やはり目を引くのは防御系統以外だと、全属性の魔法だったり、〔暴食〕[粘液操作][擬態]だろうか。
魔法に関しては、まぁ全部の核を取り込んだからだと思う。[粘液操作]も恐らくスライムは全員持っている。
[色彩変化]は色を変化させるもので、隠密行動が捗るのかな?
問題は[擬態]と、変な項目の〔暴食〕だ。ということで、まずは[擬態]の鑑定!
[擬態] 取り込んだことのある生物と同じ姿になる。見た目だけでなく、身体の構造から魔力管に至るまで全てが再現される
うーん、まぁユニークスキルって強力なの多いよね、うん。
肉体の完全再現はやはり強いよ。戦略の幅が一気に広がるしな。
魔力管というのは、魔力が通る道のことだろうか? 血管の魔力版? そんな感じだろう。それに差異があると、何が変わるのだろうか。
というかなんかラスボスっぽいような魔物を食べさせて、擬似的にラスボスを仲間にしたいと思った俺である。
「いやいやいや、思考がぶれてるし」
頭を振って雑念を飛ばし、〔暴食〕とやらに移行。鑑定だ。
〔暴食〕七つの大罪が一つ、暴食。その食欲は尽きることなく、全てを消化し自身の糧とする
……ちょっと抽象的な説明過ぎないかい? もっと詳しくお願いしたいんだけど?
そう思って強く念じるが、特に説明文が変わることは無い。
いいよいいよ、後で実際に確かめろってことなんだろ? ハイハイわかりましたよ。大人しく称号に移行しますよ。
称号でヤバそうなのは、《超越種》《大罪持ち》《暴食の化身》という称号だ。それ以外は、まぁまだ分かる。
超越……なにかを超えているのだろうが、それが何なのか、そもそも何が違うのかもわからん。
大罪は〔暴食〕の鑑定結果にもある通り七つの大罪のことで、《暴食の化身》もそのまま〔暴食〕を持っているからだろうか?
因果関係についてはよく分からんが、ひとつ言えるのは、こいつは恐らくこの世界でもヤバめの存在であるということか。
「ま、お前はヤバイで
『プルプル』
しゃがみこんで覗き込むように言ってみれば、スライムは何処か誇らしげに体を揺らした。
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