マイ・ベスト・ページナイフ
白金一括(著)
ミュンヒハウゼン新書
読書家なら、一度くらいはめくった本のページで指を傷付けた経験があるのではないでしょうか。
非常に鋭利な刃物に切り裂かれたのと同じような状態になるため、案外痛く、指先だと治りも遅いため難儀することもしばしばです。
世の中には変わった性癖の人間が存在します。本書の著者、白金氏は、本のページに指先を裂かれることに快感を感じるという、極めてレアな性向の持ち主なのです。本書では、氏がこれまでに「テイスティング」した、様々な書物の切れ味が詳細に解説されています。
・岩波文庫……イマイチ。以前は鮮烈な切れ味だったが、最近は引っかかりが目立つ。老舗の驕りが感じられる。
・講談社文庫……可も不可もなし。ほんの少しの匙加減で名品に化けるポテンシャルは感じられる。要精進。
・PHP新書……今年度最高の出来栄え。硬質だが、後を引く痛みが玄人好み。
このように、「指を切ったときの切れ味・痛み」に関する記述が延々と書き連ねられています。とりわけ常軌を逸していると思われるのは、文庫や新書といった常に同デザインで出版される本の場合、「発行年」ごとに評価を改めている、という点です。作者によると、ボジョレーヌーボーのように時期によって切れ味が変化するとのこと。例えば講談社文庫の場合、2011年から2019年にかけての評価を連ねています。それ以前の年代になると、そもそも新品として書店に並んでいなかったり、経年劣化が発生するので純粋な評価は難しいとのこと。
ちなみに作者によると、この数十年で最高の出来栄えだったのは『恋空』の初版だったそうです。
(このレビューは妄想に基づくものです)
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