第五十八話 ガチャで媚を売る図

「こここの10連七玉セットは、わわわたしがくじ屋で当てたものですから、ここここの10連はああたしが回してもいいですよねっ!」


 などとキョドりまくり、スピカはクリスタルの目を溶けたようにうるうるさせて、ギュ〜と両手で十個の光る玉を卵のように抱きすくめる。

 ルナはちっこいjkのようにジト目で腕を組み、足をバンっとして答えた。


「いいよ。ぼくにはこのがあるからさ」


 とアイテムポーチに手をかざしかけたので、俺は慌てて制した。また、話題の種を一つ作ってしまう。あのドロボウとかいうモンスターのイベント、あまり知られてないようだったし。

 当然のごとく、周囲にはたくさんの野次馬がいた。なにやら話題のお餅プレイヤーが10連を引くらしいということで、教会の出入り口のところにはまさにうじゃうじゃと人だかりができている。


「よ〜し、それじゃ引きますよ〜っ!」


 スピカが銀髪をひらひらっとさせて、10連七玉を女神像に差し出そうとしたところで「待った!」の声がルナからかかった。

 この子、珍しいことにまともなことを喋った。


「スピカちゃん、君としたことがどうしたの? このガチャ、運営が見てるんだよ? ちゃんと運営が喜びそうな演出しないとダメじゃん」

「あ、そっか」


 素直にスピカがこくっと頷いた。確か、前はルナが引いたからが出てきたんだっけ。

 ごくっと生唾を飲むスピカ。俺も思わず喉を鳴らした。

 ……と思ったら、背後からもごくごくごくっと喉の音が鳴って、超きもい。お前ら、恋愛対象何歳なのだ?


「ででではっ、っ」

「「?」」


 俺とルナの声が重なった。

 うしろの野次馬たちも何個ものクエスチョンマークのモーションを選択した。赤いぴこぴこのハテナがいくつも浮く。ユニークな光景である。


「その昔、王様のドラゴンになついたスライムがおりまして〜」


 おお、なんか始まったぞ……? 俺とルナはジト目になってしかめっ面をした。

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