第五十五話 スピカの運試し《前編》

 スピカは口をへの字にしてガラガラの持ち手を掴んだ。


「見ていてくださいねにぃにっ。わたしがじつはお姉様よりも幸運な女の子だということを今ここで証明してみせますので!」

「お、おう、結果が悪くてもあまり自分を責めるなよ?」

「初めっから及び腰では当たるものも当たりません!」


 ここで、スピカとルナの運の差を過去の出来事で振り返ってみる。

 ファミリーレストランで子供用のくじを引く時はなぜか、絶対に姉ルナの方が二等や特賞などの上位のぬいぐるみを当てることができた。

 だから母さんの買ってくるスクラッチくじをこする役目はいつもルナに任されていたし、ここぞという場面、ビンゴ大会などでいい賞を当てるのも必ずといっていい程この金髪ツインテールの天使なのだ。

 いつも家族みんなに貢献してきた姉を、羨ましそうにこの生真面目な妹が見ていたのを俺は知っている。

 その過去の因縁に、ここでスピカは決着をつけるらしい!


「まず一個目っ!」


 出てきた玉は銅色をしていた。


「おめでとうございます!」

「やった〜にぃに〜っ! なになに何等賞なのです!」


 いきなり絶好のスタートで、スピカはぴょんぴょんとガーリーにジャンプして喜んだ。

 でかいにわとりのコトリカはサングラスをキラッとさせて動画主のように快活に答えた。


「三等の《マシロタウンのアイテム屋の主人フィギュア》でございま〜す!」

「わあ〜っ!」


 どで〜っとスピカはずっこけた。


「アイテム屋の主人といったらあの不審者のことじゃないですか! そんな不気味なものマイルームに飾りたくありませんっ!」


 苛烈に突っ込む。あのスピカとルナを見るいやらしい目を思い出して、横の被害者・ルナもごくりと唾を飲み込んだ。開幕、不吉なものを当てちまったぞこの子。


「ええいっ! こうなっては勢いが大事! 2回目から5回目まで一気に引きますよ〜!」


 ガラガラガラ! 高速で持ち手を回してポポポポンと玉を転がした。


「7等の《回復ポーション》×2、6等の《氷回復薬》×1、おめでとうございま〜す! 三等の《マシロタウンのアイテム屋の主人フィギュア》でございま〜す!」

「何個入ってんですか〜〜〜っ!」


 スピカが銀糸の髪の毛をわしゃわしゃやって大声で吠えた。このガラガラの中身が非常に気になる。作為的ではないか。それともスピカのやつ、あの男に愛されてんじゃないか? 可哀想に……。


「マイルームにこんなもの2体も飾りたくありません! 家の前の雪面に埋めとくので欲しい人は持ってってください!」


 まるで呪具のような扱われ方だ。可哀想にアイテム屋のご主人よ。これが嫌なら二度と俺の義妹の双子ちゃんをエロい目で見ないことだ。


「こうなっては6回〜9回を一気に引きますよう〜っ!」


 ぐっと握りこぶしを作って青目をめらめら燃やすスピカである。

 次回へ続くらしい。


  to be continued...

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