〜 五日目 〜

第五十二話 ドロボウさんの襲来


 〜 ふたおら生活五日目 〜


「にぃに、起きてくださ〜い!」

「おっはよ〜っ朝だよ〜! ぐ〜ぐ〜っ!」


 ふたごおんらいんにログインしたにも関わらず俺がマイルームのベッドの上でうとうとしていたら、現実世界と同じようにスピカとルナから左右の手を引っ張られた。


「なぜそんな朝練みたいなことせにゃならんのだ……今何時?」

「四時半ですよ〜!」

「ナポレオンだよナポレオン!」

「ナポレオンがどうしたよ俺はナポレオンじゃねえよ……」

「お散歩だけでもいいですから〜」

「ね〜起きてよ〜!」


 背中をぐいぐい押されてマイルームから出た。まだかなり早朝なのでルナスピ親衛隊は二名しかいなくて、彼らは俺たち三人が雪山へ出るとすたこらついて来た。なんか自然に流すようになっちまったがこれも結構異常だかんな。


「ほんとに散歩だけだぞ〜」

「家は八時に出たら学校に間に合いますのであと3時間半も遊べますよ!」

「やったー!」

「朝ごはんはどうするよまだなんも準備してねえぞ……」

「いいからいいから〜なのです!」

「男の子の準備なんてすぐでしょ!」


 俺らは街を出て少し遠くまで散歩することにした。次第に木々のオブジェクトが散見し始めて、森の中に景色は変わった。むろん、地面には雪が積もっている。後ろを見てみたら、あ、ストーカーはまだ二人いた。熱心な方々だ。職業はどんなジャンルに就いているのだろう? 現実のね。

 スピカとルナは半歩先でハイキング気分でスキップしていて、甘えん坊のルナは俺と手を繋ぎ、お姉さんなのに妹のスピカは木の枝なんか持ってぶんぶん振り回している。まんま子供じゃねえか。


「もうにぃに〜、ツインテールふさふさやめて〜」


 おや、ルナがにっこにこで俺を見上げてきた。


「ほらまた〜、くすぐったい!」

「や、俺は何もしてないぞ?」

「へ?」


 俺、ルナがこわごわガクブルで後ろを振り向くと、そこに盗人のような唐草風呂敷でお顔を包んだ、デフォルメされた狐のモンスターがいた。

 おや、その手にでっかい邪竜の黒剣をずるずる引きずっている。今にも逃げようとしていた。


「あれ、だ」


 俺が呟くと気づいたスピカがギョッとして叫んだ!


「ああ〜! そのモンスターはですーっ!」

「「ドロボウ?」」


 やけにシンプルな名前だな? 俺とルナが首を傾げたらスピカはぶんぶん木の枝を振り回して怒った。


「アイテムを盗まれたら二度と返って来ませんよ〜! 絶対に倒してくださーいっ!」

「あれ、ぼくのがない!」


 ルナがことの真相に気づいた瞬間、ドロボウはだだだだだ〜っと一気に猛ダッシュした!


《ドロボウ HP1/1》


「「待て〜っ!」」


 双子ちゃんは全力疾走で金銀の髪をふりふりして追いかける。あ、ストーカー二人も猛ダッシュで迫っていったぞ。待て待て。

 確かにSSRアイテムを盗まれるのは勘弁だ! 俺も奴らの後を急いで追った。


  to be continued...

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