第四十七話 二つの戦い、二つの決意

 ルナがグリムニルソードの切っ先で氷の地を削りながら、一気に駆け出した。

 大紅蓮雪達磨はぴょんと背後に飛び、バチャっと湖の雫を跳ねさせる。ジュウ! 熱量の塊に冷たい液体が蒸発した。

 直後、ルナの立っていた地面に幾何学的な文様が浮上し、炎熱の柱が天に向けて放たれた。


《大紅蓮達磨の攻撃魔法 フレアラオン!》


 ルナはこう見えて運動神経が意外とよい。横っ飛びに一気に跳ねてギリギリで回避する。


「あっぶね!」


 そこにスピカが叫んだ。


「お姉様、まずは敵の攻撃モーションを見定めることから始めましょう! 必ず隙の多くなるシーンはある筈です!」

「わ、わかった!」

「フレアラオンの場合は背後に大きくジャンプするので現状、隙は少ないですね? わたしが標的の場合、で切れそうな場合は一気に切っちゃってください! そこはこれまでと同じです!」

「よ、よしっ! おけ!」


 二人は流石に双子ちゃんだけあり、思考に似通ったところが多かった。よって、バッチリの連携で大紅蓮雪達磨に挑む。


 一方その頃、俺と委員長は黒いスノウラビット《デスノウラビット HP23/23》を相手にしていた。


 俺らは戦いの素人なので、デスノウラビットの攻撃を受けながら、二人一緒に狩りを行っていた。

 デスノウラビットは、バシ! バシ! と委員長の刀をもらいながら、ツノで委員長を突っついてダメージを与えてくる。


《委員長 HP9/13》

《デスノウラビット HP 18/23》


 俺は追いすがって《氷の剣》で切りこもうとしたが、いきなりデスラビットが俺に向かい突進してきた。

 そこを体を傾けることにより回避。すれ違い様に氷の剣で顔面に亀裂を刻む!

 キン! 青白く太い線が走りデスノウラビットは悲鳴を上げた。


「ギギィ!」


《デスノウラビットに2ダメージ!》

《デスノウラビット 16/23》


 デスノウラビットはすぐ立ち直り、俺らとの距離を取った。

 もちろん委員長から褒められた。


「すごいよにぃにくん! よくあの姿勢で攻撃を与えられたね!」

「ま、運動は得意だからさ? へへ」

「えへへっ、確かに体育の授業じゃいっつも勝ってるからねえ? 部活とか入ればいいのに!」

「真面目にやるとダメになっちゃうんだ、俺」

「にぃにくんらしいね?」


 しかし、すかさずデスノウラビットは委員長に向けてトゲトゲのエフェクトを放った!


「きゃっ」


 バシシ! 委員長はもろに連続で喰らい、尻もちをついた。


《委員長に3ダメージ!》

《委員長 HP6/13》


「わわっ、ダメだなあ……私、君より先輩なのに……」


 委員長は苦笑して落ち込み、涙目をした。


「私はいつもやっぱりダメだ……」


 暗い雰囲気になってしまいそうなので、俺はパスっと座り込んだままの委員長の背中を叩いてやった。


「わっ!」

「おいおい委員長! まだまだこれからだろ〜が! こんなゲーム、やりたい時にハッチャケていっそのこと二人して負けちまおうぜ! そしたらまた二人で挑戦しよう! 俺っていう友達がいながら楽しまないのはどういう了見だ〜!」


 にやにや笑いかけたら、委員長はぽろっと一雫の涙を零した。

 そして、呪いから解かれたようににぱっと笑ってくれた。


「うんっ、にぃにくん、一緒に楽しもうっ!」

「よし、やるぞ〜!」

「やろ〜っ! にぃにく〜ん!」


 俺は委員長の手をこちらから握ってやり、いちばん星の見える夜空に高々と振り上げてやった。これに委員長は弾けるように笑って、テンションMAXにしてぴょんぴょんジャンプしてくれた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます