第四十二話 新しいお姉さんになる女の子


 巫女服は変わった色をしていて、紫色をしていた。

 おっきい目は群青色で、キツネってよりは狼っぽいかもしれない。

 ふさふさの長いケモミミに太い尻尾がゆりゆりする。

 身長はスピカとルナと同じくらいで、三人揃えば女児の女子会の様に見えた。


「いやあ、にぃにくんがふたおらを始めたとあれば一緒にプレイするしかないじゃないか〜っ」


 なんか、喋り方がどことなく名探偵っぽい。小紫おおかみの女の子《委員長 HP16/16》は俺の両手を自分の両手で恋人繋ぎしてにこにこ笑った。この子、なぜか俺に対してのみスキンシップが激しいので、学校ではよくカップルなんて茶化されたりする。


「手、手! なぜ、にぃにと恋人繋ぎしてるのですか!」

「にぃにのうわきもの〜! 女たらし〜!」


 猫飯NYAの前に俺ら四人はいた。スピカ&ルナは絶望しながらお互いに体を抱き合って、俺&委員長のスキンシップを見ている。

 委員長は群青の目をきょとんとさせた。


「にぃにくん、この子たちは?」

「あ、俺の義妹の双子ちゃんだ」

「例のね?」


 長いケモミミをぴこっとさせて、委員長は二人に向き直った。


「初めまして。私はにぃにくんのお友達です。これからよろしくね?」


 委員長が片手を差し出したら、スピカとルナがめちゃくちゃ警戒しながら握手した。


「にぃにのいちばーんそばにいるスピカです」

「にぃにと一緒にお風呂に入ってるルナです」

「へえ、にぃにくんと一緒に入ってるの? まだまだ子供でかわいいね?」

「へ、子供じゃない!」


 ルナが怒った。しかし委員長は大人ぶってふふっと笑む。


「女の子はかわいければ万事良好さ!」

「ば、ばんじー?」


 ルナはちょっと委員長語録がわからなくて目を回した。

 そこにスピカが怪訝な目を送る。


「子供といえばあなただってとても高校生には見えませんけど?」

「これはアバターだ。本物はもう少しエレガントでね」


 委員長の回答に俺は苦笑した。


「おいおい委員長、リアルとそうかわらんだろ?」

「あ〜、にぃにくん、ひど〜い」


 俺の手を両手で掴み、すねたようにぶんぶん腕を振ってくる。太い尻尾もゆりゆりして、ふたおらの感情感知によって彼女のなつき度が隠しきれていない。


「こらこら、尻尾ふりふりしていうな?」

「あ、ほんとだ! あはは、意味ないじゃんね?」

「だな〜」

「恥ずかしいっ」


 スピカとルナはますます激おこした。


「いちゃいちゃするなそこの二人!」

「友達ですよね! なぜ手をいちいち触るのです委員長さん!」

「あ、ごめん。癖なの……」


 長いケモミミをペタッとさせて、片手を胸に置いて、委員長は羞恥した。


「にぃにくんには触れるんだ。私、男の人って苦手なのにね」

「付き合っちゃうかぁ委員長?」

「えぇ〜っ!」


 むろんスピカ&ルナは大声で阻止する。


「まんざらでもない顔しないでください委員長!」

「冗談でも付き合うなんていっちゃダメにぃに!」

「手厳しいな〜、スピカちゃんとルナちゃんは?」


 この余裕、さすが委員長である。確かに、頭脳明晰な彼女が慌ててる場面なんて滅多に見ないし。ちなみにこの子体育はメチャクチャ苦手で、人気ゲームふたおらで運動音痴を克服したいらしい。俺がプレイするかもといったら大喜びしてたな確か。


「じゃ委員長。とりあえず飯食おうぜ? バフってやつがかかんだろ?」

「うん! ふたおらの基本だね? よし、スピカちゃんとルナちゃんもお姉さんと一緒に行こうか?」

「誰がお姉さんなのですかぁ!」

「ぼくらをついでみたいにいうなぁ!」

「あはは、かわいいね? この双子ちゃん?」

「だろ? さあさあこちらですお姫様?」

「もう、ほんとにお姫様になっちゃうぞっ」

「「待ってってばぁ!」」


 俺ら一行はキャピキャピと猫飯NYAに入った。ストーカーどもには新しいヒロイン誕生のため、もちろん激震が走っていたが、あまり構わないことにする。


  to be continued...

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