第四十話 白雪の世界のスピカ大捜索


 急いでルナと街中にスピカを探しにいった。

 すでに日が昇り始めていて上空は青くなっている。

 ルナは俺よりもむしろ先を走っていて、スピカのことを心配していた。


「どこいっちゃたんだろ……」

「わからんなあ」


 どこを探してもスピカはいなかった。店の前の明かりも消えて、徐々にプレイヤーの数も増えてくる。

 ルナはぽろぽろ泣いており、涙の粒がツインテールと同じ方向に光って散った。


「もしスピカに何かあったら、ぼく……っ」

「大丈夫。ここはゲームだぜ? みんな遊びに来てんの。事件なんて起きないさ。ま、運営はあれだけども……」

「でも、ここには変な人たちもいっぱいいるし。スピカがりょーじょく? されちゃうよぅ」

「おい待てルナ、その言葉をどこで覚えた!」


 がし! 金ツインテの義妹の肩を掴むとキョトンとされた。


「クラスの女の子たちがキャピキャピ騒いでたから、どういう意味なの?」

「JCは知らなくていい!」


 などとやっていたら、徐々にストーカーたちの数も増えてきた。今は七人くらいになっている。スピカが逃げてしまったことが大勢に知られたら不味い! ルナの言う通り危険だ!


「そういえば、俺らとスピカはチーム組んでるよな? ウィンドウで確認できないか?」


 俺は視界に淡色のウィンドウを表示して、チームメイトの検索をかけた。

 するとマシロタウンのマップにはいないことが判明した。あ、矢印は雪山の氷の洞窟? あんなところに何しに向かったのだ!

 俺とルナは氷の洞窟へ向かった。スケートリンクでつるつる滑りひやひやのそこを奥に進むと、む、何やら人だかりができてる! あ、スピカファンたちである! 時すでに遅しか、なんて思っていたら、歌声の様な音が響いてくるではないか!


「愛を唄え〜、夢を抱け〜、花咲く未来は君の手に〜♪」


 これはチョコパフェなんちゃらとかいうアニメの曲である!

 なぜ、この歌が? と思っていたら、人だかりの真正面に電子的なアイドルLIVE会場が開設されていた。半透明の幾何学的な文様の足場にスピカが立って、この寒さの中コートを脱いで、露出度の高い白ワンピースで、まるでTVアイドルの様に完璧な踊りを見せていた。


「ハッピーエンドの花火を咲かせるの〜♪」


 胸の位置でハートを作り、パッと広げてキャピッと足を曲げて横ピース。おっきい青目でウィンクする。

 これにスピカファンたちは大盛り上がりなのだ。俺とルナが呆然とこの姿を見ていたら、あ、スピカが気づいてこちらに大きく手を振った。


「にぃに〜、ルナ〜、待ってました〜!」

「待ってましたってなにが!」


 俺&ルナが近寄ったら、スピカはにへらと笑った。


「ちょぴっといらいらしてたから、歌ってました。あ〜、スッキリした〜っ」


 なんていって、ワンピースのお尻のところに手を当ててにんまり笑う。もちろん、俺はかなり拍子抜けだった。


「ねえ、お姉様?」


 そうしてスピカは、同じ目線のルナのほっぺを両手でむにっとした。


「白達磨ドレス[絆]は大切にしてくださいね? 約束ですっ」


 これにルナはまた赤目にうるうるの涙を溜めた。

 そうして大好きな妹のほっそりした腰にギュムっとだきつく。


「いらない、スピカにあげる……」

「え?」

「よかったぁ、無事でぇ……」

「も〜、お姉様〜、また泣いちゃって。よちよち」


 この大円団に、ストーカー連中は涙のモーションを見せた。ま、この時ばかりは俺も一緒だがね。

 とりま、チョコパフェなんちゃらのアニメを見るため義妹の双子ちゃんと一緒にログアウトした。

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