〜 四日目 〜 午前

第三十七話 雪だるまの行きつく先は?


 本日は日曜なのだが、当然の様にスピカとルナは早朝から俺をふたごおんらいんに誘った。


「……てか、今何時だと思ってんの?」


 ふたおらのマイルームで、俺はベッドに腰かけたまま、目の前の双子の義妹に訊ねる。双方、俺の手をぐいぐい引っ張って俺をふたおらのマップへと誘い込もうとしていた。


「朝の五時半ですよ! ナポレオンは三時間睡眠取ったら大丈夫っていってましたし、にぃにも平気ですよ!」

「そだそだ〜!」

「お前はナポレオンのクラスメイトか? ニイちゃん眠いよ」

「なら体を動かして目を覚ましましょう!」

「ホワイトスライム10匹くらい倒せばおけ!」


 結局、双子ちゃんに気圧されて俺はマイルームから出た。昨日のストーカー連中はまだ集合しきってないらしく、三人しかいなかった。三人は扉から出てきた俺らを見るなり、雪原からむくりと起きる。なぜか、こいつらとは会話していない。いや、会話する気もないが、それが暗黙の了解であり、ルナスピ親衛隊の掟なのだろう。

 俺らの矢印はすでになくなっていて、チュートリアルは終了した様である。


「これからは自分の足でいろいろなところに行って、ストーリーを進めていきます!」


 スピカは丘を下りながら意気揚々と喋った。


「ほぼ、自分の取る行動によって無限にストーリーが分岐します。たとえば、私がここで雪玉を握って、えーいと投げたとします」


 スピカは雪玉を握ってポーンと投擲した。

 もちろん、それはスポっと雪面に落ちて何も起こらない。


「こういった行動一つで思わぬストーリーが展開することもあります。わたしたちが序盤に設定した《家族》という職業もポイントですね。今後、関わってくることが必ずあるでしょう」

「へえ、それはすごい」

「ほんとにすごいと思ってますぅ?」


 スピカはえへと笑った。


「せっかくマシロタウンに来たことだし、この町を少し詳しく見てみましょう。思わぬイベントが起こるかもしれません」


 そして、俺の肩に手を置いてこそっと喋る。


(それに、いずれここは出なきゃなりません。かなりの注目選手になってしまいましたし?)

(だな、あまり心残りは残したくない)


 俺らが話してる間に、ルナは横で雪だるまなんかを作り始めた。坂道で徐々に大きくなっていく。


「お前、何してんの?」

「えへへ、すごいでしょ」


 ルナは満面の笑みだ。

 とその雪玉は丘の途中でいきなり加速した。


「わわわっ!」


 なんとルナはその上にくるっと乗っかってしまい、玉乗りの様に崖下へ転落していく!


「助けてにぃに〜!」

「どういうことだ!」


 俺が慌てて崖を滑り落ちると、隣についてきたスピカが大喜びして喋った。


「にぃに! これは絶対イベントですよ! さっきいったでしょ? 些細な行動がストーリーを生むきっかけになるって!」

「! そういうことか!」


 俺らが落ちた世界は、青い結晶の世界だった。エフェクトが美しく、見ているだけでエモーショナルだ。

 あ、ルナは自分の作った雪だるまに首まで埋まり、なんかルナだるまになってしまったように思えた。


「ぷぷぷ、お姉様お似合いですよ?」

「黙れバカスピカ〜! ん〜っ、抜けないにぃに助けて〜!」

「待ってろ、今救出してやる!」


 などとコントをしていたら、ぼっこんぼっこんぼっこんと大きな音が連続して鳴り響いた。

 なんだ地震かと思っていたら、この間戦った氷晶達磨のちっこい版みたいな白い雪だるまたちが大量にやって来た。

 あっという間に囲まれてしまう。

 連中が次々に喋った。


「お前ら、白達磨の里になにしに来た!」

「襲撃だな! 返り討ちにしてやる!」

「出会え出会え〜!」

「「「わわわっ!」」」


 三人して縮み上がっていたら、一匹がルナの存在に気づいた。

 すげー巨大な雪だるまの胴体にちっこいルナの頭がついている。

 それを見た瞬間、ビコーン! と頭に赤いビックリマークがついた。


「貴方様は!」


 ビックリマークは次々に伝播して、ビビビビビコーン! と連続して立ちまくる。

 連中は一気に声を重ねた。


「「「「「氷晶達磨サマっ!」」」」」

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