第三十六話 氷の剣をGETした!

 すでに時刻は夜の10時になっていた。

 本日はマジで一日中ゲームしていた。あまり楽しい記憶がないのは俺だけだろうか。隣のスピカとルナはにっこにこだ。ルナは俺と手を繋いで、スピカは俺の真横でスキップして、上機嫌でお歌なんて歌っていた。


「「愛を唄え〜花咲く未来は君の手に〜、ハッピーエンドの花火咲く〜夜空の花束ほらここに〜♪」」

「おい、なんだその歌は」


 俺が左右の二人に聞くと信じられない人を見るような顔をされた。


「にぃに、知らないのですか!」

「チョコレートパフェモードプリンセスのユニット曲だよ!」

「ちょちょこぱふぇ、ユニット? わかるようにいってくんない?」

「チョパプリ! アイドルをしながら日夜悪の組織と戦う女の子に人気のアニメです!」

「そだよにぃに! 日曜の朝に入ってるじゃん!」

「俺はその時間寝てるからね」

「えぇ〜! にぃに、じゃ明日一緒に見ようよ!」


 俺の手をギュ〜とちっちゃい両手で引っ張るルナの申し出に、俺はげんなりする。休日は具合が悪くなるくらい眠りたい性分だ。


「ルナはもう中学生になるんだろ? その、女児が見るアニメじゃないか、それ?」

「そ、それは……でも面白いもんね、スピカ?」

「あら、私はお姉様が見てるからついでに見てるだけですけど?」

「えぇええ〜! そんなの卑怯じゃん!」


 じたばたしてルナがスピカに怒った。妹の彼女はにやにやしている。こういうところ、スピカは本当に上手い。からかい上手というか……背後から殺気に似た視線を数多感じたが、たぶん俺はこれに慣れなきゃならんのだきっと。

 スノウタウンに戻って、カジノみたいなカラフルに光る武具屋『勝』に戻った。クリスマスツリーみたいな衣装の変人CPルミリエはまだ、星空を眺めながらキャンディーをちゅぱちゅぱしていて、俺、スピカ、ルナが話しかけたらにやっと笑った。


「ほうほう? ホワスラハート、氷の塊、うるうる石をGETしたか。これで主らも少しはパゥワァを手に入れられたのではないか? 実感はあるかいにぃにくん」


 →はいを選ぶ。


「ええ、モンスターとの戦い方の基本は覚えました」

「そうかそうか、ではこの素材で《氷の剣》を作ってやる。ついて来い」


 ルミリエに連れられ工房に入ると、いかにも研究所みたいな謎のマシーンがあった。どでかい、そしてロボットの頭のようにビカビカ光っている。

 ルミリエはこのロボットのお口を開いて素材をぼんぼん投げ込んだ。


「これは、まるであれですね? 理想のハッカーと現実のハッカーの違いみたいな……」


 要するにルミリエという職人はスイッチ一つで勝手に仕事をしてくれるすごいマシーンを事前に作ったのだろう。


「頼んだぞ〜、電子レンジXカイザくん」


 カイザくんと呼ばれたロボットの頭は目をびかびか光らせて、お口からぽろっと水晶の剣を吐き出した。雑である。


「これは君にやろう」


 ルミリエから俺は《氷の剣》をもらった。

 手に取って、びゅんびゅん振ってみた。もちろん、このゲームでの初めての武器だ。ルナにはがある。

 左右で、俺を見上げていたスピカとルナが、金銀の髪をふりっとして、青と赤の目でにんまりした。

 そうして、今日のふたおらはログアウトした。

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