第三十一話 氷の世界のクリスタル雪だるま


 再び《氷の洞窟》まで、俺・スピカ・ルナ・ストーカー集団でぞろぞろやってきた。足元のスケートリンクと凍った岩壁はやはり美しい。

 俺たち義兄妹が足を止めると、ぴた、ストーカー集団も静止する。俺がちらっと後ろを振り返ると、連中は一斉にそっぽを向いてウィンドウを閉じたり開いたり、ルナの真似してくしゃみのモーションで遊んだり、立ち寝して鼻から泡を浮かせたりする。これでバレてないと思っているのか。不自然すぎるでしょ。


 スピカが俺のコートの先をちょいちょい引っ張って小声で話す。


(にぃに、マシロタウンのイベントが終わったら逃げましょ。ここからとおーーーく離れたところに)

(……ちがうゲームしない?)

((ダメです!))


 左からルナもひそひそ声で参入した。


(だって、ぼくたちお餅プレイヤーだよ? このゲームのてきせーがあるの。ちやほやされてるのにもったいない!)

(これはちやほやではない気が……)


 と再びストーカー集団に向き直ると耳をダンボにして聞いていた。海外のミュージカルみたいである。

 前回とは異なる方向、つまり地下の方へと進んでいく。そしたら、ホワイトラビットの骨などが転がっていた。一本道で、どんどん進む。やがて大ホールのように広い空間に出た。


 そこに青いクリスタルの雪だるまがあった。

 俺より頭ひとつ大きい。目も鼻も口もない、と思ったら逆の方を向いていた様だ。


 次のシーンだ。

 一斉にストーカー集団はシャとる準備をした。目の前に左右の手の親指と人差し指を四角にして構えた。

 ギュルん! クリスタルの雪だるまはこちらを向く。半円の金色の目は怒っていた。つららの鼻に氷の牙はかっこいい。


「こぉおおおおおおんんん!」


 クリスタルの雪だるまは大声で吠える。


《氷晶達磨 HP34/34》


「ひょうしょー……?」


 ルナが漢字を読めなくて人指し指をくわえている。


「来るぞ、スピカ、ルナ!」

「あ、うん」

「はい!」


 俺は拳を構えて叫ぶ。金銀の天使、スピカとルナはシンメトリーの動きで片手を振り、妹スピカは顎を上げて、姉ルナは逆に顎を引く。

 パシャシャシャシャ! 連続シャッター音の喧騒の中、全世界へと発信される《氷の剣作成》の最終決戦はcoolに開幕された。


  to be continued...

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