第三話 ゲームのはじまり


 ゲームの町の紹介VTRのように、静かな田舎村に白雪がしんしん降る。

 子供たちが追いかけっこして遊び、たぶん、俺と同じプレイヤーだろう。このマシロタウンをリアルタイムでプレイするお兄ちゃん×双子の妹のキャラクターが大量にいて、こわい。ちなみに今は深夜である。田舎の人口じゃない。こわい。


 徐々に画面が暗くなり、まぶたが開かれた。

 古い天井が見えた。雪の重みで屋根が鳴っている。


 俺はどうやら、眠っていた……らしい。

 リアルの俺の部屋ではない。外国の家、中世、いや、ゲーム風と表現した方が、今の世の中なら共感は得られそうだ。

 木のデスクに木のベッド。これだけの室内なのだ。


 どたどたばたばた、複数の階段を走る音が聞こえた。


「——ちゃ——ダメ——!」

「——やめ——にぃ——!」

 

 何やら争う声に、なんのイベントシーンだ? と緊張していたら、——バターン! 木の扉が勢いよく開かれた。


「にぃに! おはっ」

「だ〜め〜!」


 満面の笑みで現れた姉ルナの後ろからラグビー部もかくやの妹スピカのタックルが決まった。

 二人はごろごろごろ! コミカルに転がり、もみくちゃになり大声で泣く。


「「うぁあぁあぁ〜〜〜んん!」」

「待て待て待て」


 ゲームの開幕、いきなり珍事に見舞われた俺は、二人の手を握ってやる。双子の義妹はギャン泣きしながら、お互い猫パンチを打ち合って、自分の言い訳を大声で説明した。


「だって、お姉さま先ににぃにのところに走ってっちゃうからっ、ダメっていっても聞かなくていじめてくるからっ」

「スピカちゃん待ったらぜったいぼくのこと出し抜くし! いきなり後ろからぶつかられていたあぁ〜〜〜!」

「うぁあぁ……!」

「えぐ、うえぇ……!」


 俺にはリアルにもゲームにも逃げ場はないのか。この世界で一番に義兄の惰眠がそんなに見たかったか。

 その時、ビビビコーン♪ ゲーセンの明るいBGMが流れてスピカとルナの銀と金の天使の輪にカクカクした文字が表示された。


《スピカのレベルが上がった! Level1→2 Status Point +1》

《ルナのレベルが上がった! Level1→2 Status Point +1》


 めでたいらしいが、ポカーンの兄と双子の妹である。


「なな、何やら運営の御眼鏡に適ったようですね……?」


 姉ルナのほっぺたをひっぱたまま、ぐしゅ! と鼻をすすり妹スピカが呟く。

 これは、あれか。この三馬鹿トリオ、かなり天性のプレイヤーなのでは?


 to be continued...

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