第3話 神様にお願い!!

 外は時折雨風が強く吹いてくる。前回の台風では、ガラスを割られた教訓を前に、父さんが鉢植えを家の中に片付けていた。


「あのですね、神様」


 おれのかしこまった言い方に違和感を感じたのだろう。神様はプイとそっぽを向いた。


「さぁーて、おっさん。今日もおよごうかの」

「さんせーい!! 青年、ビールとチーズ鱈の用意をたのむ」


 ……ったく、温泉じゃないんだからさ。


 それにしても、せっかく神様がいるっていうのに、まったく使えない。


 お願いだから、台風を消滅させてくださいっ!! なんて、無理だよな。わかっちゃいるけど、もしもだよ? ひょっとして、いつものかるーいノリで、オッケー! なんて言ってくれないともかぎらない。


「どうぞ」


 父さんが趣味の日曜大工をこじらせて、無理やり作ったおっさんサイズの木製ビールグラスを二つ並べて、ちみちみそそいだ。普通の皿の上には、母さんが包丁で細かく切ったチーズ鱈が芸術のように並んでいる。


「神というものはな」


 そこで突然、神様がシリアスにカミングアウトを始めたのだった。


 つづく

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