セカンドシーズン

第1話 ふたたび参上!!

 暑い。10月だというのに、なぜか日中は暑くてたまらない。


 おっさんはあいかわらず水槽で泳いでいる。今やグッピー使いになっていた。


 おっさんが分裂した時に、父さんが作ってくれたドールハウスはおっさんがむだなく使っているから笑える。


 このドールハウス、ちゃんとシャワーやトイレまでついている。水回りの配線はさすがにむずかしかったと言っているけど、どうして。これでテレビがつけば最高じゃないかよ。


 そんな、秋とは思えないような微妙な天候の中、ミニマムサイズの神様が現れた。


「よう、青年!!」

「神様なのに、軽いなっ!?」


 神様は水槽ではしゃぐおっさんを見て、せつなげに目を細めると、今度はおれを見た。


 ……雨の中でたたずむ子犬のような顔をするんじゃないっ!!


「青年よ、わしはさみしいのじゃ」

「わかってますって。だから時々、おっさんを神社まで連れて行ってるじゃないですか」

「じゃが、酒を飲み干したらすぐに帰ってしまうのじゃ。どうやらこの家がよほどお気に入りらしい」


 まぁ、うちとしても、ゴキブリと戦ってくれたり、アニサキスを殲滅してくれたりいろいろと重宝している。


「と、いうわけで、今日からわしもこの家に住むことにしたっ!」

「はあっ!? なに言ってるんですか、神様!? うちのエンゲル係数では、神様を満足させるだけのもてなしはできませんよっ?」


 なにより、舌が肥えてそうだからな。


「かまわんっ。わしも一回でいいからチーズ鱈を食べたいのじゃ」

「いや、普通におそなえしますし?」

「おそなえものには手を出せぬのじゃ。わしの存在が知れ渡ったら厄介じゃからな」


 おいおい、結局なんのためのおそなえものだよ?


「それに、部屋も余っておるではないか」


 神様の視線の先には、ドールハウスがある。


「郷に行ったら郷に従えじゃ」

「あ、ちょっ!?」


 言うが早いか、ドールハウスへワープした神様は、クローゼットをあさり、母さんが手縫いで作っているおっさんの服を物色し始めた。


「まさかのおっさん二人……」


 意外な展開に、ちょっとだけついていけないのだった。


 つづく

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