第4話 サッカーするおっさん

 総勢22人に増殖したおっさんたちのために、サッカーするためのゴールポストを作ってくれたのは、日曜大工が趣味の父さんだった。


 おっさんたちは、目がさめるなり、やんやと酒盛りを始めた。


 とてもサッカーどころではない。


 それどころか、エアコンの一番風が来る場所を取り合って、ちょっとした騒ぎに発展した。


 それを機に、サッカー対決をすることに決まったのだった。


 でもな。家の中とはいえ、この暑さだし、おっさんたち酔っ払ってるしな。どうすんだ、これ。


 ホイッスルの代わりに口笛を吹く父さん。


「行くよ、おっさん」

「おう、おっさん」


 班に分けて海水パンツの色がちがう。


 ってか、上半身裸じゃんっ。


 そして安定のヨレヨレ感。酒盛りした後のおっさんたちは、みんな千鳥足だわ、スライディングしようとして足首ひねるわ、腹がボヨンボヨンしてるわで、もう見てられなくなってきた。


 そのうちに、おっさんたちの影が薄くなる。


「え? なに?」


 たったひとりのおっさんと、持ち主をなくした海水パンツがひらりと舞い落ちる。


「おう、罰の効果が切れたようだな」


 わっはっはっはっと、豪快に笑うおっさん。


 おっさんたちのために、ドールハウスを作り始めていた父さんは呆然とする。


「あら? まぁ。食費が浮くわね」


 母さんは相変わらずだ。


 だけど、なんだかとてもさみしい気持ちになったのは、ここだけの秘密にしておこう。


 つづく

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