第2話 バトれ!! おっさん

「メーデン、メーデン!! こちら、OGオージー! ただいま、交戦中!! ……敵、目標、目の前っ!? うわーっ!!」


 ◆◆◆


 数分前。


「あれ? おっさんがいないなぁ。母さん、おっさんは?」


 今日も元気に水槽でおよいでいるはず、だった。


 さいわいなことに、グッピーの死亡例はなく、おっさんは毎日母さんに作ってもらった水着を着て、元気におよぎまわっていた。


 最近では、グッピーを調教して、ウィリー的なことまでやっていたりしたのだ。


 そのおっさんが、いない。


 毎日お供えしているお酒を100円ショップで買った小皿に注いで、おっさんを待つが、まったく姿が見えないのが気になった。


「あーんた、本当におっさんが好きねぇ」


 母さんはおっさんのための水着をちくちく縫いながら笑った。


「いや、だって、おっさんだぜ?ひょっとしたら、虫に食われてるなんてことないかな?」

「まさかぁ。ああ、でもいたわねぇ。おっきいクモ」

「マジで?」


 嫌な予感が頭をよぎる。


 冗談じゃない。おっさんがっ。あのおっさんがっ!!


「あら、やだ。ゴキブリだわ」


 のんきな口調で言うと、母さんは新聞を丸めてゴキブリを撃退した。


「あら? このゴキブリ、どうしてピノの楊枝が刺さっているのかしら?」


 おれは、おっさんのことを想像した。まさか、おっさんがゴキブリと対決したんじゃあるまいな。


 でも、あの大きさだと、ゴキブリと対決するのも納得できる。


 しばらくしたら、ボロボロになったおっさんが、海水パンツ一枚であらわれた。


「おっさんっ!! どこ行ってたんだよっ!?」

「いゃあ、バトった」


 言うなり、おっさんは酒を飲み、小さく刻んだチーズ鱈をもしゃもしゃ食べた。


 そして、しばらく、ぐうぐうと眠り始めてしまった。


 やはり、おっさんがバトった相手はゴキブリだったのだろうか? だとしたら、すげぇなと、おっさんの寝顔を見て思ったのだった。


 つづく

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