弁当
月のきおん
第1話
基本的に人が好き。
人と話をするのが好き。
初対面で人と話すと緊張して赤面になるが。
そんな私は惣菜屋で働く。
私の父親はタクシーの運転手だった。
父親同様私もサービス業だ。
もう11年前に病気で他界している。
昨日は父親の命日だった。
パンジーが家の花壇に一面に咲いて居た。
母親は私が小学校の時に他界。
父親が男手ひとつで育ててくれた。
父親は私が中学の時、学校に持って行くお弁当を作ってくれた。
ご飯にはいつも梅干しにウインナーとゆで卵の至ってシンプルなのだが私はいつもこのお弁当が恥ずかしくていつも蓋で隠して食べた。
毎日殆どそのお弁当で私は父親にいつも罪悪感を持って居た。
友達にはからかわれる事は無かったが一部の男子からからかわれた事があり、
父親の手作り弁当は二度とみたくは無かった。
高校には進学せずに、家から10分に有る惣菜屋で働いた。
本当は高卒ではないと駄目だったが惣菜屋の社長を父の同級生で知り合いで遣ってもらう。
中学卒業したと同時に私は殆どの家事を任されるようになった。
洗濯、掃除、食事作りと。
父親の弁当も作った。
今夜は何作ろう。
献立を考えて買い出しから帰って来て、部屋を掃除して居たら父親
が誰かに宛て書いた手紙が出て来た。封筒には何も書いてないが中の手紙には誰かに宛てた様子。
誰かに気遣い書いた文面の手紙には日付けが私が中学生の頃の時のようだった。
宛名書いてないがこれ私への手紙?!
父親が本当に私に宛てた手紙だ。
昨日そう言えばお父さんの命日だった。
私はその場で手紙を読み出す。
いつも同じ弁当で悪いなと書かれて居た。
手紙に涙が一粒二粒落ちた。
ちょっと恥ずかしがり屋だが優しい父親の顔が浮かんだ。
そして暫く立ちすくんでいた。
弁当 月のきおん @kioco
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