学校ってなんですか



今日は今までに見たことのない程の快晴だ。

ルエはセレーネの部屋のカーテンを勢いよく開けた。

セレーネは眩しそうに窓から身体を背ける。

「起きてくださーい、ご主人様!」

「ん……。」

「起きてないじゃないですかぁ~。今日は私が朝ごはん作ったんですよ。あ、言ってるそばから枕で耳塞がない!」

「嫌だ。俺は好きな時に寝て好きな時に起きるの。好きな時にご飯食って好きな時にゲームするの。」

「それじゃあぐだぐだじゃないですか。」

「面倒なの!朝飯くらい持って来い、お前なんもできないんだから。」

ご主人様…とため息をつき、ルエは早速部屋の掃除を始める。

掃除機をかけ始めるとセレーネが叫んだ。

「やだやだ!掃除機の音させんな!」

「なんでですか。猫みたいなこと言わないでください、ご主人様。」

セレーネは飛び上がるとすぐに部屋を出て行く。

ルエには小さな声が聞こえた。

「そろそろかえでとヴァロットも学校に通わせないとな。」

さっきと違ってきりっとした声だ。セレーネはどうやら誰かと話しているらしい。

(学校?なんでしょう、学校って……。)

セレーネがやがて戻ってくるとルエは聞く。

「学校ってなんですか」

セレーネは驚く。

(聞かれていたのかよ。ルエが学校に行きたいとか言い出したら大変そうだな…)

「奴隷が通うとこじゃない。辛いだけだぞ。」

「私は通っちゃいけないんですか?というか通うとこなんですか?」

セレーネがため息をつく。

「辛いことならお任せですよ。」

ルエが真顔で言う。

「どうして、お前は…辛いことを背負おうとするんだ。」

セレーネがルエに聞いた。

ルエは少し虚空を見て考える。

「辛いことは、人を成長させる、とお父様が言っていました。楽な方と辛い方があるのなら辛い方を迷わず選べと。楽な方を選んだ先には怠惰な心しか残らない。辛い方を選べば成長が待っている。ならばどちらを選ぶかは決まっているだろう。そう言っていました。」

(とんでもない父親だな…。どんな奴だよ。)

「私、肉体労働も頑張ったし、絶対できます!」

「駄目だ。前例がない。」

「作ればいいじゃないですか。」

「は?」

ルエはセレーネの手を取る。

「知ってますか?新しいことをするのはいい事なんですよ。新しいことをしなければ!ね?誰かが、言っていました。新しいことをすることは、扉を新たに開けることだと。でも、お父様は違うと言いました。新しいことをすることは、扉を開けることではなく、扉を、作ることだと。一緒に扉を作りましょう!」

なんか結局ルエに色々言いくるめられ、学校体験をさせることになってしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます