夜はベッドのおともなのです!


(さてと、もう寝る準備はできたから、寝るかな。)

セレーネは大きな欠伸をする。

それにしても、厄介な奴が来てしまったものだ。まぁ奴隷といえば、メイドや従者とは違い、肉体労働しかできないことは知ってはいたが、ここまでとは思わなかったのだ。仕方がないかもしれない。今まで教えてもらったことなどない奴に、色々なことができるわけがないのだから。

「少し、できなさすぎな気がしないでもないけどな。」

どれだけの教育を受けてきたのだろう。全く、きっと最低限なのだろう。

セレーネは自室のベッドに寝転がる。セレーネのベッドは、この世で一番大きなシングルベッドだ。ただ、この大きい自室ではそんなもの、部屋の5分の1に過ぎないが。

今日は疲れすぎた。

そのままベッドに身を預け、セレーネは…

「ご主人様~!寝る準備はできましたでありますかっ?!」

この広い屋敷中に響きそうなでかい声。

「あれれっ?!もしかして…」

セレーネは薄目を開ける。


(*´Д`*)ルエ


(どんな顔だよ…はぁ…)

「死んでしまったでありますかッ?!嫌ですぅ!死なないでください!」

ルエが泣きそうな顔をしている。心配してくれているのはそれはそれでいいのだが…

「給料がもらえなくなるでありますっ!!この不当な労働に見合うお金ヲォッ‼嗚呼ッ!!」

(・・・)

「お前なぁ、さっきからでかい声出し過ぎなんだよ!目が覚めちまったじゃねぇかッ!!しかも、金だと?!お前みたいなウジ虫にやる金はない!」

奴隷のくせに生意気だ。変に語彙力が優れている奴め。

「あっ…生きていたのですねッ!良かったぁ…」

無駄にでかい声は眠気を覚ます。

ルエは心の底からほっとしたように、ものすごく可愛い笑顔をこぼした。

セレーネはその笑顔を見て、少しだけ。

(くそっ。可愛い…。少しだけなっ!)

少しだけ少しだけ、と自分に念押ししながらセレーネはベッドにくるまる。

「では、ベッドのおともをさせていただきますね!」


(*´Д`*)セレーネ


「はい?」

「だから、ベッドのおともです。昔お父様に習ったのです。男の人は、女の人が一緒にベッドで寝てくれるととてもリラックスできるし、嬉しいらしいです。あと、そのあとにベッドで上に乗っかられたりしても、気にしないで、って言ってました。女の人にとって男の人に上に乗ってもらえるのは幸せな事らしいです。」

「ルエ…お前、過去最高長くしゃべったな。」

「ご主人様…やっと、私の名前を呼んでくれた…」

セレーネは呆れて、ルエはしみじみと喜ぶ。

「ご主人様、ありがとうございます!初めて、初めて私、名前を呼ばれた…。大好きですご主人様!」

ルエはうれしさのあまりセレーネに抱き着いた。

「お、おいっ!」

「今日はこうやって一緒に寝ましょう!」

(うそだろ?!ヤバい、許容範囲を超えてる!)

セレーネは必死に、赤らむ頬を隠した。



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