透明な紫陽花 〜斯くして彼は殺人に至った〜

作者 ぼなぁら

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★★★ Excellent!!!

 理想的な家庭で突如起きた、小学生による親殺し。

 日常を引き裂くように起きたこの事件、当然センセーショナルに扱われ、あらゆるメディアが競うように、次々と関係者達へ押し寄せていく。

 ある者は野次馬のように、ある者は涙を流し、ある者は驚きに打ちのめされ、そしてある者は、自分の見たい真実だけを、取材を通して語っていく。

 この感情の激流のような取材と同時進行で語られるのは、ある少年の生活の一部。内気な彼の、繊細で窮屈な日々の前に、ふと不似合いな少女が現れた。いや、ある種その出会いは、必然だったのかもしれない。

 語り手を切り替えながら、一人称視点で進められていく内容ですが、それぞれの登場人物の書き分けがはっきりとしており、筆者の高い実力を感じます。安定した文章に漂う、どこか不穏な空気感は、まさにどんよりとした梅雨空のよう。

 確かに人生とは、戦わなければならない。だがその戦いに、正義はあるか。

 是非皆様に、その目で確かめて頂きたい。未熟さ故に走る刃の行き先と、この事件の奥にある、本当の真実を。