第33話 愚痴

「っはぁ〜……危なかったぁ」


現在、俺は中心の広場から離れて街の端にいる。


今回は失敗だ。大失敗だ。

せっかく覚悟を決めて出て行ったというのに、効く効かない以前に届かないとは……無事に帰ったら腕立て伏せを日課にしようと思う。

というか、なんで俺はこんな事したんだっけかヒーロー気取りかよ本当……あーやってらんねぇ。


さて、愚痴を言っても仕方がないが、今度こそ打つ手が無くなってしまった。

実験を続けてもいいが、あれ以上近づくと戦闘の範囲内に入っていくことになるから嫌だ。


「んっーー!仕方ない」


大きく伸びをして道の端に座り込んだ。

出来ることが無い以上、休息に時間を費やすことにした。

いつまでこの空間に居なければいけないか分からないし、休憩は取れる時に取っておいた方が良いだろうという考えの元の行動だ。

それに、昨日今日とたったの2日で肉体的によりか、主に精神的にもうヘトヘトだ。


壁に背を預け、空を仰ぐ。

朝、燦々と照っていた太陽はもう見えない。



……あれ、何で見えないんだ?


俺は午前に家を出た。と言うか逃げて来た。

体感時間としてはそこまで経っているようには感じられない。過ぎても精々4時間程だろう。

そうそう太陽が沈む時間では無い。

まして、雲に隠れているという訳でもなく……あれ?雲も無い。


何故だ?

謎過ぎる。

よくよく見たら、辺りを一面が平面のように見えてきた。

空も、草木も、道に敷き詰められたレンガさえ現実では無い、どこかそっくりな絵のようにも見えるこの空間に違和感、もしくは危機感、嫌悪感のようなものを感じ始めた。


何か……違う。




ーーーーー




そう思った瞬間に視界が晴れた。

目の前には、棒立ちのミーネと銀の光を発しているアヌビスが現れた。

さっきの不思議な空間ではなく、立体感が戻っている。


「「どっ……どうなってるんだ?」」


理解が足りずに惚ける俺の声に合わせて、重ねて誰かの声が聞こえた気がした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます