第19話 拘束解除

そんなこんなで時間が経ち、魔力が回復してきたのか、体が動かせるようになってきた。

魔法によるブーストがないせいか、ヨチヨチとしか動けないが、とりあえず俺は立ち上がる。


「おお、御主も魔力が回復してきたか」


ふと顔を向けると、そこには真っ赤な服を着たミーネがいた。

よく観察すると、服はさっきのチートのような能力で作ったらしい。

いや、そんなことよりもだ。


「えっ、動けてるやん」


驚いて口調が少し鈍った気がする。

この世の終わりを見るような目でミーネを見つめる俺に対して、ミーネは小首を傾げながら返答する。


「ん?御主が解いてくれたんじゃろ」

「あ、あぁ。そうだ。そうだな、うん」


そっちがそう思ってくれるのなら、乗るのが最善だと信じて合わせておく。

形だけ見れば、和解できたということでいいだろう。

うんうんと1人うなづく俺を余所目に、ミーネはどこからともなく取り出した灰色のバッグを漁っていた。


「ほれ、解いてくれた詫びと言ってはなんだがな」


そう言ってミーネが取り出したのは

真っ赤な宝石だった。


「その宝石には転移魔法陣が組み込んである。それを持って妾を呼べば、一度だけ助けに来てやろう」


あのバッグはどこから出てきたんだろう……それも気になるが、とりあえずは差し出された宝石をありがたく受け取り、着ていた服のポケットにしまった。

それと同時に、ミーネは俺に背を向ける。


「では、妾も暇でないのでな。言っておくが、質にでも出したらお前の家を潰しにいくからの」


そう不穏な言葉を残して、次の瞬間にはその場から消えていた。


……ミーネが瞬間移動を使える説が、いよいよ濃厚になってきたな。


「あ、バッグのこと聞き忘れた」


いや。もう、そんなことはどうでもいいか。

今日は疲れた。

何かを考える気力も無いくらいに疲れ切った。


「……帰るか」


まだ6時まで、少し時間があったが、俺は一直線に家へ帰ることにした。

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