第17話 真意

「鮮血の魔女って本当か?」

「いかにも、私がレナスナトア・ミーネ。鮮血の魔女だ」


本物だった。

なんだか、街中でばったり芸能人に会った気分だ。

しかし、絵本の中では出逢った者は皆殺しにする戦闘狂として描かれていたが、意外と話が通じる相手である。

しかも、情報提供までしてくれる優しい?奴だ。


「何であんなに悪く伝えられてるんですかね?出逢った者は皆殺しだとか」

「一度、王都を襲撃したからかな」


うん、そりゃ恨まれるのは当然だな。


「あの時は、王が洗脳の支配下にあったからの……他の、身の程をわきまえぬ輩も皆殺しにしたまでのことよ」


俺の中にふと、疑問が浮かぶ。


「さっき戦っていたのは誰なんだ」

「国の騎士だ。上層部が神の影響下にある為に、今でもまだ私の命を狙ってくる鬱陶しい奴らだよ」


確か、サダハの村を含む“王国”は宗教国家だった筈だ。

神を中心とする宗教国家は、国民全員が洗脳されていると等しいのではないだろうか。


「そうなると、お前は国を丸ごと潰すつもりなのか?」


そうなれば最悪の状況だが、


「は?そんな訳なかろう。リスクも高いし、目的にそこまで関わっている訳でもなかったしな」


もう恐怖はほとんどなかった。

少なくとも目の前にいる少女は、正体不明の殺人狂ではない。

発言を全て鵜呑みにするつもりはないが、今の話を全て真実とするならば、話のわかる奴だ。


そんなふうに考えを改めていると、少女はボソっと呟いた。


「最近は送られて来る刺客も弱く、つまらなくなったがの。昔は勇者や装甲殺戮兵器とかが追ってきたのに、最近は手応えが足りん」


訂正、ただの戦闘狂だ。


「大災害でも起これば面白いのにな」

「それにしても、装甲殺戮兵器とか名前が安直すぎるな。ネーミングセンスが腐っているのかと疑うくらいだ」


物騒なことを言い出した少女の話題を逸らそうと、ダサい兵器の話題を持ちかけた俺の言葉に、少女は絶句して項垂れる。


「正式名称分からないから、私がオリジナルでつけたのに……そんなに酷いか?」


………ピンポイントで下らない地雷踏んだ。

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