第2話 氏名

目の前の男の髪は炎のように真っ赤だが、そんな髪とは対照に、落ち着いた雰囲気をはらんでいる。

背は目測だが175cm程だろうか……大きいな。


こんな奴、俺の知り合いにいないぞ。

とりあえず、名前と場所でも聞いてみようと思って声をかけた。


(あの〜誰でしょうか?)


そう聞いたつもりが、また「ウーッ」という言葉を発してしまった。

失敗失敗。


しかし、どうしようかな。今の俺は話せなかったんだ。

話せない、動けない、ここ何処?

……絶望的じゃないか!


ん?


足音が聞こえる。

俺の声を聞いてか、もう1人やって来たようだ。


「あらあら、どうしたのライル、お腹すいたの?」


そう言って部屋に入って来たのは女性だった。

綺麗な金髪を肩口まで垂らしている。

背は先ほどの男性より、20cm程小さいか?

うん、俺のタイプでは無いが美人だ。

それも、道を歩けば10人中7人は振り返るくらいの。


よく見ると、薬指に指輪をしていた。

男の方もだ。

ということは、こいつら夫婦か。

フーフー!羨ましいなぁ。


「スフィー、来てくれたか」

「ええカルム、どうしたの?」

「ライルが喚いてるんだが、泣いているわけでもなくてな…どうしたらいい」


俺が人間観察をしていると、会話が始まった。話題は俺についてみたいだ。


女の方はスフィー、男の方はカルムと言うらしい。

じゃあ、このライルってのは俺のことか?


しかし、それ以外のことはよく分からなかった。


ーーーーー


数日後


色々と重要そうな情報を手に入れた。


まず、月が2つあったり、何も無いところに火を付けたりとなんとなく察していたが、この世界は元いた世界では無いということだ。

何度か「魔法」という言葉を聞いたことで確信を持った。

ここは剣と魔法の異世界だ!

と、まぁ、心躍る話はあとにしよう。


次に、カルムとスフィー、この夫婦は俺の親らしい。

と、いうことはだ。

俺は自分の親に『こいつら』とか言ってたわけだ。

口が悪いにも程があるな……これからは子供らしくパパやママとでも呼ぼうかな。


そして、俺はこの家の次男だったらしい。

兄がいたのだ。

長男はと言うと、貴族作法を習う為に、王都に出ているとのことだ。

実際に会ったことは無い。


あと、今住んでいるこの家はサダハという町にあるらしい。小さな町で、いわゆる辺境だ。村と言っても過言では無いのかもしれない。


現状、分かったことはこれくらいだ。

もう少し筋力をつけて歩けるようになったら詳しいことを調べに行こうと思った。








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます