初恋
僕の名前は、藤堂太一。高校一年生。柔道部に所属している。実は僕は恋をしてしまった。恋の相手は、高校一年生。さらさらとした黒髪のロングヘアー。少したれ目で…性格は、姉御肌。いろいろとてきぱきと世話してくれる。一言でいえば「かわいい!」そんな女の子に恋をしてしまったのだ。女の子の名前は、上市かえでという。
上市かえでが柔道場に来ているときは、ぼくは張り切った。この日も、一回部長を背負い投げで投げた。ぼくはすぐ、上市かえでをみる。…こっちを見ていた…ぼくは、天にも昇る思いだった。
五月のある日、帰り道、友達とラーメンを食べてかえろうと約束して、柔道場で友達三人と待ち合わせしていた。その時だった。
「藤堂君…藤堂君だよね?」
声の主は、上市かえでだった。ぼくは、平然をよそおい「おう」と答える。
「帰り道、一緒だよね。一緒に帰ってもいい?」
ぼくはその言葉を聞いて鼻が伸びていたと思う。ぼくは上市かえでの顔をじっと見つめるだけで精いっぱいだった。他の友達があわてて言う。
「藤堂! 一緒に帰るよな。じゃあ俺たちは、退散するわ」
そういうと、ほかの人たちは、ぼくと上市かえでを残して去って行った。上市かえでが言った。
「私たちも帰ろっか?」
ぼくは無言のままついていく。しばらくして上市かえでが聞いてきた。
「柔道っておもしろい?」
「面白いよ」
上市かえでは、目を輝かせながら聞いてくる。ぼくはだんだん熱くなってきた。
「ちっちゃい人が、大きい人を思い切り投げ飛ばせるんだぜ。だから柔道って好きなんだ」
「そうよねえ、藤堂君は、体は小さいけれどいつも大きい人を豪快になげとばしているのもんねえ」
こんな話が帰る間中続いた。
別れ際に上市かえでと携帯の番号交換をした。
次の日学校に行くと友達がたくさん集まってきた。
「どうだった?キスしたんか?」「どういう話したんだ」そういう話題がもちきりだった。「どこからこんな話題みんなみつけてきたんだよ」ぼくは、クールに言って笑った。でも心の中ではガッツポーズをしていた。(もしかしたらバレンタインチョコもらえるかもしれない)
そうこうしているうちに、授業が始まった。近くにいる人と紙将棋をした。二回したが全敗だった。気持がざわざわして落ち着かなかった。
次の日も次の日も上市かえでと帰った。
ある時、聞いてみた
「どうして僕と友達になってくれたの?」
上市かえでは言った
「やさしいし、なんでも相談にのってくれそうだし」
「なんか相談事あるの?」
上市かえでは、顔を赤くしながら言った。
「好きな人がいるんだけど…私男子の気持ち分からなくて教えてほしいなと思ったの」
即答でOKと答えた。
その後、様々な試験があったが、上市かえでが親身になって教えてくれた。いつしか笑いあえる仲間になった。
いつしかお互い電話をかけあう仲になった。いつか「僕のことどう思ってる」と聞いたことがあるすると、「親友!」と即答してくれた。僕はうれしかった。
そして、バレンタインの日になった。
この日学校に来てみると、みんなお金をだしあって何かをしていた。
「何してるん」
友達の一人がいう
「賭け事だよ、お前が、チョコもらえるかもらえないか」
気になって言う。
「今どうなってるんだ」
友達が笑う
「そりゃ、貰えないほうにみんな百円」
僕はあわててきく
「貰えるってかけているひとはいないのか?」
「いないなあ。この賭けまずかったな。みんな貰えない方にかけるんだもの」
むかむかしてきました。ぼくは言い切った。
「貰える方に千円」
みんながやめとけよと忠告してくれたがぼくは聞かなかった。
この日の授業中、友達としゃべってばかりいたが、うわの空だった。
そして、部活の時間。この日、いつも上市かえでが座っている席を見ると、上市かえでが座って何か書いていた。
この日は、試合形式の練習だった。でも上の空で、全敗。先生には、罵倒されるは散々だった。
終わった後、上市かえでが駆け寄ってきた。
「大丈夫?」
うなずく。すると、上市かえではおずおずと聞いてきた。
「この後時間ある…?」
またうなずいた
着替え終わった後、二人で校舎の裏にやってきた。上市かえでの手にはきちんとくるまれた包装紙を持っていた。周りは静かで、いい雰囲気だった。
「お願いあるんだけど。いいかな」
上市かえでの顔は真っ赤だった。僕も緊張気味。
「このチョコを藤堂君の同級生の山本君に渡してほしいの」
青ざめる。
「お願いできる?」
今度はむかむかしてきた。
「僕の気持考えたことある」
上市かえでは、か細く言う。
「藤堂君は、大事な親友。でも、ごめんなさい」
そういうと上市かえでは下を向いた。
僕は、そっとその場を後にした。上市かえでは、別れ際に「ごめんなさい」と謝っていた。
僕の初恋はここで終わった。初恋は…幻想だった。
後日談がある。賭けは僕があまりにもかわいそうだということで見なかった事になった。そして、みんなでカラオケに行って5時間歌い通した。ぼくは、『もう恋なんてなんとか』を歌った。
歌いながら思った。(男の友情っていいなあ)傷心をかかえながら…心から思った。
終わり
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