歩き始めた


歩き始めた

わかっているのにそれが出来ない

そういう不思議な欠陥を抱えながら

生きる

そのことにこれだけやる気が無かったのは

このせいなのかもしれなかった

わたしの人生を返せよ

誰に文句を言ったって仕方ないけど

一人で会話をし出したら終わり

ふふ

でも大抵のことは終わってから始まるらしいよ

意味なんて要らないって気付いたのはさ

つい最近のことなんだ

わたしは笑って空っぽの容器を傾け喉を潤すだろう

目の前の看板には警告文

「」

空欄に当てはまる言葉を述べよ

きみは黙っていた方がいい

わかりきったことしか口に出来ないならば

なんだか今

無性にぶよぶよしたものが食べたい気分

本当のわたしは今頃、水筒の中に甘い液体を詰めて丘の上で寝そべって死んでいるかもしれないな

「まあいいさ」

そう言っておけ

夢と現実が同じ成分で出来ていることを知った今

自暴自棄みたいにようやく笑うことが出来た


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る