哺乳類


おれは涎を垂らしていた

おれ自身は自制しているつもりだった

だが勝手に端から垂れていた

我慢しているつもりがそれが出来ていなかった

口を開いた

おれってさあ

哺乳類なんだけどさあ

きみってさあ

一体なんなの?

きみは黙って俯いていた

しばらくして答えた

え?

哺乳類?

まじで?

おれは驚いた

まさか目の前のこいつが哺乳類だったなんて

すごくね?

じゃあおれたちってもしかして仲間なんじゃね?

哺乳類同士なんじゃね?

きみはこくんと頷いた

「天丼おかわり!」

サラリーマンが店内で叫んだ

まじかよ

ねえおれの指、舐める?

同じ哺乳類として

喜びを分かち合いたいんだよ

うまいぜ?

騙されたと思っておれの指を舐めてみろって

信じろ

な?

同じ哺乳類としてよ

他の誰でもないこの哺乳類のおれのことを信じてくれよ

だがきみは指を舐めなかった

残念だ

哺乳類のおれの誘いを断るということか

哺乳類と哺乳類のガチバトルが始まる予感


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る