区別がつかない
マーマレードはおれの友達
あいつはちょっと変わっているけどいい奴なんだ
あ間違えた
マーマレードではなくて田中だった
田中がおれの友達だったんだ
どうしてマーマレードと田中を間違えてしまったのだろう?
全然、共通点なんか無いのにな
へへっ
今日のおれってどうかしているみたいだな
何しろ田中とマーマレードを間違えてしまうのだから
本来なら田中とマーマレードは違う存在だってすぐに気付いても良さそうなものなのに
気付かなかった
おれはいつものおれではないのか?
いつものおれは日曜日にテニスを楽しむ素敵なパパだ
そして軽く汗を流した後に朝食のパンに田中を満遍なく塗って食べる
また間違えた!
また田中とマーマレードを間違えてしまった!
狂った!
三年後の春におれは医者に問いかけた
「先生、おれを助けてくれませんか?」
先生は黙った
「先生………あなたってどんな先生なんですか?」
座っていた椅子がぎしりと鳴る
「田中とマーマレードが混同してしまって頭の中で区別が出来なくなるんですよ、どっちが田中でどっちがマーマレードなのかよくわからなくなってしまうそんな自分がいるんですよ」
先生?
あなたって本当に先生ですよね?
まさかこけしじゃないですよね?
先生、教えてほしいんですよ
おれは頭がおかしくなってしまったのですか?
まるで誰もいない海で
浮き輪に捕まりながらぷかぷか浮いているみたいなんです
流されて
それが不思議と心地良いんです
もう二度と帰って来れないかもしれないのに
せんせえ
おれは田中とマーマレードに挨拶して来るよ
それは既におれではないおれに似た別の誰かなのかもしれないけれど
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