目に見えない


青春なんて存在しない

そんな物質はこの世界には有り得ない

最初から無いものをまるで有るように見せかけているだけ

それに翻弄される馬鹿がいるだけ

灰色の日々の中で

甘酸っぱい思い出なんて皆無

孤独の中でうつ向くしかない青年は

きっと爆弾を作るのさ

この世界をぶっ飛ばすための

さくらんぼを頬張りながら

蟻の行列を足元で踏み潰して笑うような連中を

木端微塵に吹っ飛ばすために

歪んでしまった角度を元に戻すために

或いはもっと激しく歪ませるために

まず壊す

それは極めてまともな行為だろう

そして青年はその最中、生まれて初めて青春を味わうだろう

だからまだそれに名前が付けられているなんて思わないだろう


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