よく見えない


おれの中で交通事故が起こった

おれの中でね

そいつはどうやら死んだみたいだった

へえ

それ以外の感想が出て来ないのが問題だ

おれは透明な容器ではなかったから

誰もおれの中で交通事故が起こったなんて知ることはなかった

仕方がないよな

おれだってその最中プリンを食っていたわけだし

お前の笑顔はかつて素敵だった

だから結婚してくれよな

プロセスチーズを食べながら告白した

だが

ここから先へ行ってはいけない

その警告文が一瞬の隙にしゅるりと心に入り込んで来て

外は雨が降っていた

そのせいか何だか境界線がよく見えなくなってしまったんだ

だからおれは進んでしまうのだろう

これ以上はやばいよなと心の何処かで思いながら

でも何とかなるかもなんて

最後の瞬間が訪れるまでは思っていられるのだろう


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